SY
発表会のレポート書きが先行して、レッスンノートが大変遅くなってしまいました。
以下、すべて記憶に従って書いています。
声は、療養による1年近い休止から復帰後、ほぼ元に戻った感がありました。
おそらく、病気を経験して、無理な力をかけなくなったのが良かったのでしょう。
怪我の功名で、以前よりも高音発声が楽になったのではないか?と感じています。
腰をかばって、身体全体の力みを出さないで、7割くらいの感じでやっているのが良かったのでしょう。
発声練習をして、気付いたことは、高音発声の対処です。
高音発声で喉が上がらないようにする意味は判っているようですが、口先だけで対処しないように。
口先の形を作ろうとするだけで対処すると、逆に喉が強張りますので、常に自然にやることを忘れないようにして下さい。
基本は、自然にブレスをお腹に入れることと、その際に、自然に喉が下がった(喉奥に沈むような感じ)感覚を覚えてください。
高音ほど、奥の方から出ている感じと、喉が詰まってない感じ、を大切にしてください。
曲で印象に残っているのは「からたち」です。前回に比べて、大分こなれて落ち着きました。
この曲、上のG(2点G)が何度も出てきますが、これがボディジャブのように、喉に効いてきます。
それは、声のポジションが高いため、喉で叫んでしまうからです。
ここでは、例えば・・・はな~が咲いたよ~の「な~」を歌う2点Gのアタックの瞬間に、ほんの少しだけ
喉を下げる感じを持たせると良いでしょう。柔らかくそっと扱うのです。
この辺りの高音は、上に昇ろう登ろう、という無意識があるために、結果的に叫んでしまうと思います。
昇るよりもほんの少しだけ声の重心を低くするような意識で声をアタックしてみてください。
次回も、この辺りを良く練習してみましょう。
TK
モーツアルトのエルヴィーラのアリアを練習しました。
良く練習したことは、2点Fから上の声のチェンジ領域で、なるべく声の響きを拡げるように歌うこと、を意識してもらいました。
これを意識しないと、細く可愛い声だけになってしまい、ドラマティックな声にならないのです。
音楽の表現としても、キャラクターとしても、この点を抑えておきたいアリアです。
しかし、高音域は歌詞の母音によって、喉が締まり易いので、特にIなどの狭母音の扱いに注意です。
そのためには、母音の形にこだわらないで、喉の状態に集中することが大切です。
当たり前のように思いますが、常に声は喉の状態に注意してください。
歌詞を一所懸命歌う、という集中力は大切ですが、そのために、いつのまにか喉を絞めて歌ってしまうのです。
また、悪いことに喉を絞めて歌えてしまう場合は、締めないよりも、声が出ているような錯覚を感じてしまうことも
多いのです。
締まらないで発声が出来ている時の喉そのもの、の感覚はスースーとして、声の響きは軟口蓋から上で響く感覚だと思います。
あるいは軟口蓋自体が響くともいえるでしょう。
確かに声が前に響くのは良いですが、それだけ、というのは良くないです。
喉が詰まっていて響きが鼻根に集まっているのは、締まった響きである証拠です。
これは、鋭い響きになるので、何となく響いている感じがしますが、近鳴りした響きで、弱いです。
なぜか?というのは、息が声に乗っていないため、声の響きが増幅されないのです。
喉を締めて出しているので、息が綺麗に吐けていないで、声帯の響きだけが強く出ますから、
その響きは直接音になってしまい、息と共に口腔内の空間で共鳴を起こさない声になります。
そのため、空間に良く響く声という観点がが弱いと感じています。
彼女の場合この点が一番の課題、と思っています。
どのアリアでも歌曲でも同じことですが、喉から出た声を、口の中に作った空間で共鳴させるように、
発音を工夫することです。
そのために、ブレスの時に、軽くあくびをした状態を意識して、その状態から声を出し始める、ということを
徹底させてみてください。