EM
発声練習から始めました。低音はへ音記号の第一線のGまでかろうじて出せています。
大分、喉が楽になって来ている、と感じています。
高音も、ひっくり返らない範囲に留めて、良いバリトンの声を作ることを第一に考えて行きたいと思います。
シューマンのDu bist wie eine blumeから始めました。
新曲ですが、譜面づらでは良く読めていました。
前回指示した通り、無理な高音のない音域なので、声として難しい面は、ありません。
ただ、ゆったりしたテンポであっても、詩の内容からみても、軽やかさは必要でしょう。
それは、発声がどうこうというのではなく、歌詞をどう歌うか?という捉え方だと思います。
Duと呼ぶ対象のイメージが頭にあるか?Blumeはどんな花か?あるいはどうして花と呼ぶのか、という
心情を心に持つべきでしょう。
発声重視で歌うあまりに、必要以上に大きな声を出してしまい、結果的に音符だけを棒のように歌ってしまうことにつながってしまいます。
譜面が読めたら、歌詞を歌うことに徹してください。
そのためには、歌詞の朗読を薦めます。
まず、譜面から離れて、普通の詩の記述の状態を目で読んで朗読することです。
朗読のドイツ語の調子などは、Youtubeなどで聴いてとにかくうわべだけでも真似してみてください。
スラスラ読めるようになったら、今度は譜面上で、音符のリズムに合わせて読んでください。
そこまでやってから、歌ってみてください。
発音で特記すべきことは、Uの母音です。口先はほとんど閉じて、口奥で響いているだけで良いです。
響きを他の開口母音と同じように出そう、響かそう、とすればするほど、本来のUと遠い響きになります。
正確な発音がなぜ大事か?と言うと、そのことが、その単語の本来持っている語感(意味と雰囲気)を表現出来るからです。
Blumeと発音するときに、特にUの母音が、この単語の語感上、とても大切な意味を持ちます。
例えば、日本語の「トンボ」の「ト」を「タ」と言ってみてください。
「田んぼ」になってしまいますね。
これは極端としても、本来の意味から遠く離れた感じになるのが、判ると思います。
良い声、最低限の発声のレベルは必要ですが、発声・発声・とそればかり言っていると、
こういう最低限の歌詞(言葉)の扱いがすっ飛んでしまい勝ちです。
特に歌曲は、歌詞の扱いの繊細さが命ですから、ある程度歌えるようになったら、くれぐれも
歌詞の扱いを大切にしてください。
他にも、シューマンのBerg’und burgen schauen herunterや、シューベルトのGesange der Harfnersから2曲を歌いました。
細かいことにはなりませんでしたが、譜面の強弱の指示なども、歌詞の意味と照らし合わせて、その意味と存在感を良く尊重してください。
声の響きを喉に落とさない、というのは原則論ですが、喉の調子によっては、意識して落とすことも調子を上げるために
必要な時もありますが、基本は喉に落とさないで発声が出来る、というスキルが出来てから、と考えて良いと思います。
ただ、低音は、一度出す方向性を与えないと出ない、という原始的な部分もありますので、絶対ではないです。
たとえば、女性の場合、一般的には地声を使わない、とされていまうが、実際は、地声を使う場合も多いですし、
また、地声を練習することが、その上の声区に良い影響を与えることがあります。
何事も、原則と、応用、というのは裏表であり、必ずしも順序立てられない面があること、判ってください。
TK
モーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」からMi tradi quell’alma ingrata!
発声練習では、久しぶりに地声を取り交ぜて、喉のポジションを落ち着いたところに納めるべく練習しました。
その甲斐あって、中高音の声はビンビンと良く出るようになりました。
改めて、その上で、喉で押すだけではなく、共鳴を導くような、発声で歌うことを、
今日のアリアを歌うことの中で、練習をしました。
基準は、書けば簡単なことです。
特に上昇音形の時、なかでも、5線の第5線から上に入るようなフレーズの時、
喉で押さないで上がること、です。
喉で押す、と言う意味は、無意識に喉をそのまま、口奥を開けないで、音だけに頼って
音程をトレースする、という意味です。
これが言葉で書くのが難しいですが、例えるならば、一つのフレーズと言うのは、
最初の声出しで、声帯の振動が発生したら、後の振動を敢えて、二度押しして作ろうとしない、
というイメージ、になります。
弦楽器で言うならば、弓が弦を一度擦れば、後は、弓をボーイングを滑らかにさせて
フレーズを弾くわけですが、その際には、最初の擦りよりも軽く滑るように弦の上を擦っているはずです。
では、弦楽器が、音程を出す際に、指でフレットを押せて移動するが、声の場合は?
ということに対応するのが、口奥の開きとなります。
あるいは、母音発音(発声)のやり方、でも良いです。
この場合の口奥の開きが意味していることは、下顎と上あごの使い具合のバランスで決まりますが、
これは、声帯の伸び縮みと関係します。関係するように口奥を開け閉めするわけです。
これ以上は書いても難しいので、敢えて書きませんが、要するに喉で音程を取らない、と昔から
よく言われていますが、正にそのことになります。
フレーズで音程移動の際、上でも下でも、移動する際に、喉で音程を押さないことに尽きるのです。
ただし、喉頭は声の音程に応じて無意識で微妙に上がったり下がったりします。
この上がり下がりは、ある程度なくさなければいけません。
そのために、意識して喉を開いたり、あるいは開いた状態を維持したり、あるいは意識して閉じることもあります。
いまTKさんに覚えて欲しいことは、極力開けることと、開けた状態を積極的に維持して歌う、音程移動することです。
SM
発声練習は、Iで低音から上昇形で始め、Aにしてから、一通り練習しました。
声の響きが太く、胸声がしっかり出て声量のある声でした。
フォーレの「月の光」「愛のシャンソン」「祈りながら」を一通り練習しました。
「月の光」では、所々で感じられる声の辺りの太さを、注意して直して行きました。
これは、すんなりと良くなり、とても良い雰囲気の出せた「月の光」になったと思います。
最後のParmiの高音の入り口は、無理なくしかしきちんと出した方が良いです。
響きがぶら下がってしまうと、雰囲気が壊れてしまうからです。
最後のMarbreのAの母音は、きちっと喉を開ける(軟口蓋を開ける)と、安定したフォームで音程も良い響きになります。
「愛のシャンソン」は、感覚的な問題でしょうが、ピッチが全体に低くなる発声でした。
調子もありますが、感覚的には声が良く出る感じがあったのではないでしょうか?
良く響く声、良く鳴る声は、気を付けないと胸声成分の強い声になっていることが往々にしてあるものです。
声と言うのは、本来そういう傾向、癖がありますので、常に声とピッチの関係には注意をしてください。
出す声の音程の、和音内の高い方にある音程をイメージしていると、ピッチは高めになります。
良くありますが、ピッチを気にして結果的にファルセットの声にしてしまうことは極力避けましょう。
それから、鼻腔の響きを意識することも、彼女の場合は良いかもしれません。
例えば中音域の場合、Iを発声すると、喉が下がる傾向になりますが、喉はほどほどで、むしろ鼻腔に響きを入れるように
Iを出す発声をしてみると、判ります。
口は開けないことで結果的に鼻腔に入る響きが判るでしょう。
そういう響きが、胸声を維持しつつも、ピッチの良い響きになる傾向を作ることになると思います。これは中低音域の話です、
要するに、喉を開けすぎて、結果的に息が太くなり過ぎて、ピッチが太くなり、結果的に♭な響きになることにくれぐれも注意して下さい。
「祈りながら」は声、ピッチは良かったです。発音はUの母音の発音は良く閉じてください。
発音は、意味を表す記号ですから、間違った発音で歌うと、意味が通らなくなります。
日本語に置き換えて考えれば判ることだと思います。
声楽ですから、声量や声質も大事ですが、それだけで歌うものではありません。
まして、オペラではなくピアノ伴奏で、声量重視に考える必要はありませんので。