7月1日

発声練習の様子を見ていると身体が動かないですが、硬いのではないか？と感じました。
姿勢のスタイルが素直で無理がないため、硬い感じに見えにくいですが、声を聴けば、身体が硬いことが判ります。
ブレスで、素直に胸を開くようにブレスした方が良い、と指示しました。
胸が開いて高い状態になると、頭声が出やすいと感じています。

あとは、首の姿勢を教えました。
これもやり過ぎは逆効果ですが、声を出す際に顔を前に出さないように注意してください。
首の後ろに張りを持たせるように、肩甲骨の中間から頭の後頭部の出っ張りにかけてを真直ぐ伸ばすような姿勢を大切にしてください。

中音域の声の響きが付いて来ました。
2点C～Fの間のチェンジ前くらい、音程が♭になる傾向もありましたが、すっかりなくなりました。

コンコーネの6番と7番を練習しました。
上昇形のフレーズの最高音で、口先を閉じるようにすると、逆に喉が開く意味は、逆効果の作用みたいなもので、口先を大きく開けると、声自体がそちらに行こうとするために、喉は開かない、というか、軟口蓋が開きにくいということでしょう。
ただし、これはあまり声量を出さなくても良い場合に有効です。

7番では、長く伸ばす音符が課題になりました。息を止めているかのように聞こえます。
声を当てる方向が間違うと、声を出している際に息が伸びやかに吐けなくなります。
このことが、自然なビブラートの発声を阻害して、結果的に♭に聞こえたり、

ドンナ・アンナのアリア。
母音で歌って、練習をしました。
メリスマの部分は、ゆっくり、倍のテンポで練習をしました。
アリア前半のゆっくりした楽節部は、良い感じに声が馴染んで来ました。
曲に慣れたためか、難しいメリスマで出て来る高音も、まだ細いですが少しずつ滑らかに歌えるようになっています。
レシタティーヴォも含めて、イタリア語の朗読、読むことだけは自宅でも出来ると思います。練習しておいて下さい。

SNM

Hahn　Si mes vers avaient des ailes
綺麗に歌えていました。指摘したことは、楽譜が全体に弱声の歌唱ですが、あまり弱声にこだわらないこと。
出来る範囲で、綺麗な声の響きを維持することです。
息漏れが出てしまうと、これはイレギュラーになります。
息漏れが出ない範囲で、コンパクトに綺麗にメロディラインを歌えれば完璧です。

Je te veux　これは、発声のことよりも、フレーズの歌い廻しを極力レガートに滑らかにすることで、この曲の美しさが出る、と教えました。
顕著なのが、フレーズ中で跳躍する音程が、突出してしまうことです。
例えば、J’ai comprisのpriの部分、確か2点Dだったと思います。
この声の響きが突出してしまうことです。

カルメンのミカエラのアリア　Je dis que rien ne m’epouvante
このアリアは、彼女の声にしっくり来ます。中低音が綺麗に歌えるからでしょう。
また、高音も良いポジションに入った声になりつつあります。
もっと力まないで出せるようになるでしょうが、今は抜かない方が良いです。
音楽に任せて自由に歌っておいてください。

彼女の持ち声は、メゾとしても通用する中低音の声と明るく伸びのある高音にある、と思います。
どちらかといえば、下が厚い声質になりますから、結果的に高音は重めになると思います。
もしこの声のキャラクターを変えると、中低音の発声から変えることになりますので、なかなか大変だと思います。
現状の持ち声を基準にした選曲をし、その曲の表現を深めて行く方向が、上達の早道であると思います。

シューマンのリーダークライスOp39の4番　Die stilleから
これは、声のことよりも、喋りです。何と言っても読みをたくさんやらないといけません。
日本人にはとても喋り難い子音の連続の部分があり、それだけでも大変ですが、語感上からいっても、
やや早口で、しかも小声で喋る感じです。
ひたすら読みの練習をしてください。
そして、歌い過ぎないで、歌うべき所に集中して下さい。

Mondnacht
こちらは、全編がレガートな歌を要求されますが、そのほとんどがPP～Pの声です。
しかし気を付けるのは、良く響いた声であることです。
ブレスで喉を深くし過ぎないように、やや浅めのポイントにして歌うと、喉の合ったPの声が出せると思います。
良く集中して、フレーズを真っすぐに滑らかに歌い通して下さい。
その結果、最後のFFがより生きて来ることと思います。

Schone Fremde
この曲も、喋り難い子音満載の歌詞であり、テンポも速めなので、最初はゆっくりと焦らないで歌ってください。
言葉が身に着いてから、表現にかなったテンポにすれば良いです。
最高音のFisの声は、喉を下げ過ぎないで軟口蓋を良く上げた発声をしてください。
あまり太くなく、音程が良い声の方が良いと思います。