とてもシンプルだが一音一音の屹立する響きの純粋さが、雨のしずくや濡れた葉っぱの表面を、そして雨が降るとにおい立つ樹々の香りが感じられる。
さすが、響き一つに精魂を込めた作曲家だと思う。
一見、前衛音楽に感じられるようで、協和音を多用しているのが、彼の晩年の作風なのだろう。
それにしてもこのピアニストは素晴らしい。
ほぼ完ぺきに、この音楽を咀嚼して弾いていると思う。
武満徹の音楽を聴くたびに、彼が携帯電話やPCに染まらない時代最後の作曲家だったことを思い、
自分の半生を重ねて得も言われぬ気分にさせられる。