今日ご紹介する音楽は、私のプライベートでの音楽鑑賞曲集です。
フィーリンと呼ばれて一つのキューバ音楽のジャンルとして存在している音楽で、1940~60年ころ最盛を迎えたようです。

決して本業の声楽をなおざりにしているのではなく、むしろ畑違いの唄を聴くことこそが自分の芸の肥やしになると考えているからです。
我々が扱う歌曲は芸術性が高いため、結果的に抽象度が高く作られています。

しかし作品の核には、これら大衆歌謡の唄の喜びや快楽が密かに埋まっています。
歌の原点である、生きる喜びや悲しみです。
それを自分の芸術歌曲の歌の中で忘れないでいるためには、実生活で大衆音楽を聴く方がよいと思っているのです。

つい最近Youtubeで見つけた古い古い録音。もう大分前に天国に行ってしまった歌手ですが、キューバのセザール・ポルティッジョ・デ・ラ・ルスという人です。
日本では無名に近いですが、あちらでは大歌手でした。

何が良いか?というと、メロディとギターのコード進行の具合と、なんといっても、このセザールのバリトンボイスです。
私が好きというか目標にしているのが、この胸に共鳴した軽いバリトンです。
声自体は重くないが、共鳴感のある体躯から軽く出る感じが、なんともイカしてるな~と思うのです。
これが、わが師匠モラーヌのリアルな歌声に実は近いのです。
レコードで聞く彼のフランス歌曲から感じられませんが、本当はこういう声です。

この曲はあちらでは有名な曲で、なんとプラシド・ドミンゴも歌っている恋の唄です。
邦題が「遠く離れていても」つまり遠距離恋愛の唄ということでしょう(笑)

だいぶ以前にも旧ムジカCブログでご紹介したブラジルのドリヴァル・カイミもそうですが、わが永遠の師匠カミーユ・モラーヌの歌声がこういう感じで懐かしく思うのです。
モラーヌの歌声もっとも想起させる録音が見つかりました。

こちらはキューバでもっとも有名なホセ・アントニオ・メンデスの唄です。
軽い優しいテノールです。
この人の唄も含めて、ラテンの古い曲は、たぶん昭和の日本の歌謡曲にかなり影響を与えたのではないでしょうか?

最後は、日本でも一時ブームを巻き起こしたブエナ・ビスタ・ソシアルクラブで歌っていたオマーラ・ポルトゥオンド
美声ですね~!!80歳過ぎてもビンビンと歌っています。