この全曲をじっくり聞いたのは恐らく初めてではないでしょうか?
伊達物の朝の唄以外は、それぞれを断片的には聞いていました。

改めて今回この動画を聴いてみて、かつて物心ついたころ漠然と夢想した理想の音楽に近いのではないか?と。
12~3歳ころでしょうか?

そのころ父親がレコードで聴いていた、いわゆるクラシック音楽、バッハ、モーツアルト、ショパンなどなど。
あるいは演奏会に連れて行ってもらった第九交響曲やNHK交響楽団の定期演奏会で聴く古典的なオーケストラ作品。
どれを聴いても退屈でした。

特にオケの指揮者というのが、鬱陶しく暑苦しい存在に感じていました。
着ている優雅な衣装に反する身振り手振り髪振り乱しの姿が、なんだか滑稽で暑苦しく感じたのでした。

あの生意気な小僧時代から早や半世紀。
ラヴェルの音楽は、ピアノに限らずどれもがスマートで細身ですっきりしてカッコが良い。
それでいて、ただクールなだけではなく熱いスペインの血も感じさせるし、またこの世のものとは思えないシュールな世界も描いている。

この作品はラヴェル30歳に作られたそうですが、その完成度には舌を巻きます。
ピアニスティックな面と作品としての完成度のバランスが素晴らしい。

の演奏者のバヴゼさん、ラヴェルの持つ美点を素直に衒いなく表現している稀有なピアニストだと思いました。