1週間ほど夏休みをいただいて信濃追分に引きこもっていました。
外食や知り合いとの接触や歓談は一切無し。
スーパーに短時間で食糧を買い出しに行くだけで、後は家でひたすら読書三昧、昼寝三昧の日々を過ごしました。
私などはふだんからもうサンデー毎日のような日々ですが、それでも時々入るレッスンの仕事を控えての準備やそのレッスン、そしてわずかな自主公演のための練習や勉強など、
義務にかられないと出来ない行動がまだまだありますので、本当の意味でサンデー毎日とは行きません。
毎年夏は必ず行くのですが、今年に限って録画にあるような大変美しい鳴き声の鳥が毎日さえずっていたので、ICレコーダーで録音してみました。
写真は信濃追分の自宅と近所の散歩途上にあった風景です。
読書は「寺山修司と生きて」田中未知、「寺山修司からの手紙」山田太一編、「動的平衡」福岡伸一、「武満徹逍遥」小沼純一の以上4冊でした。
小説文学ではないので、さっと読めましたが、上記は面白かった順番です。
なんといっても寺山修司を公私にわたって支え続けた女性アーティストの情熱溢れる文章に心動かされました。
それは寺山修司賛美だけではなく、彼に対する誤った批評に対する反論に顕れていましたし、私の知らない寺山修司の一面を知ることが出来たことです。
一方山田太一と寺山修司の交換していた手紙の内容も、実に興味深いものでした。
もう現在のラインやメールでは実現出来ない時代の美しくすらある友情表現や後年の天才的なアーティストの萌芽が友情溢れる手紙の交流にあふれておりました。
まったくただの手紙なのに、読んでいて飽きないのです。
素晴らしい人は手紙も素晴らしいものか?と感心しました。
こういう若い時代を過ごしたかったと、心底思いましたね。
それに反して「武満徹逍遥」はクラシック音楽の評論にありがちな、どこかお高くスノッブな内容に興味を削がれました。
つまり相当詳しくないと判らない事象を記していることが多かったのでした。
まあ、武満氏自体もそうでしたが、今となっては何とも難しいことを難しく言うので、判りそうで判らないということが多いのもいたしかないのかなとは思いますが。
もう少し作品を通して考えた武満徹の目指していたことを、なるべく分かりやすい論理的な文章で掘り下げてほしいと思いました。
福岡伸一氏は、農学博士にして分子生物学の専門家。
ある動画のパネルディスカッションで話していた「動的平衡」という革命的な生物理論が面白く、買ってみたわけです。
この本でちょっと失敗だったのは、武満徹逍遥とは別に、難しいことを各界の先生との対談で分りやすく話すという点が物足りなかったことです。
動的平衡というのは、一言で言えば固定的な物体として考えてしまいがちな生物存在、科学の捉え方を、流動的で留まることのない存在として認識することにあります。
これは皆さん知っておく価値大ありなので、ググってお調べください。
今回の動画は夏休みに録音した美しい黒ツグミの鳴き声です。