夜の部は、今週末くらいにアップしますので、もう少しお待ちください。
久しぶりの大倉山記念館ホール。
もう知り尽くしているつもりで発表会に臨みましたが、改めてこのホールの良さを感じました。
残響はほとんど感じられないのですが、壁や天井などに反射して音が乱反射しているためか?
残響時間の短さが、デメリットに感じられないこと。
声の響きが素直に客席に聞こえてきます。
さて、生徒たちの演奏は皆さん個性的なもので、緊張して思った通りできなかった人、完璧と言っても良かった人、幅が大きい発表会でした。
私から見ると、いくつかの失敗や未熟さはまったくの想定内で、全然問題ありません。
皆さんに本番を経験していただくのは、失敗や自分の未熟さを知っていただくため、と言っても過言ではありません。
それぞれが違う課題を抱えていますが、大事なことはいつも練習を楽しみ、本番を愉しむことなのです。
継続こそが力なので、ほどほどに楽しみを忘れず練習を続けること、愉しんで歌うこと、が一番の上達法です。
次回の発表会を、楽しみに待ちたいと思います。
いつものことですが、ピアニストの皆様にはご苦労様でした。
当日の合わせなどもあり、気を使ったと思います。
日ごろから音量にうるさく言って来ましたが、今回感じたのは今度はピアノの歌いこみがやや消極的だったこと。
もう少し歌うところは積極的に歌った方が、歌手も歌いやすくなるのではないか?と思いました。
これは、私の反省点でもあります。
ともあれ、御礼申し上げます。
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彼女も合唱経験があるとはいえ、このようなソロの発表会出演は初体験だったと思います。
それにしては、3曲とも安定した歌いっぷりで感心しました。
これからの課題は、やはり発声です。
モダンオペラには興味がないそうですが、基本的なところで気息傾向が強い声なので、響きが散ってしまう傾向があります。
このため、今後は声質をより密な響きにして行くように伸ばして行きましょう。
カッチーニ「アマリッリ」チェスティ「私の偶像のまわりでり」マスネー「スペインの夜」
HH
1年ほど熱心に通ってくれて、発声の緒に就いたという印象のステージになりました。
前回までの試演会に比べて歌声が伸び伸びとしていたことと、楽しそうに歌えていたことが評価できます。
ホールに声が良く響いていました。声を伸ばすのが気持ちよさそうでした。
何よりも、真から嬉しそうに演奏が出来ていたことは評価に値します。
彼女に限らないことですが、初心者の方は声の響きだけに耳が行ってしまうため、結果的に喉に不要な力が入ってしまいます。
歌いながらも息は楽に吐けている発声のために、喉を開けて軟口蓋を高くということ、より覚えてください。
ガスパリーニ「いとしい絆よ」ボノンチーニ「お前を讃える栄光のために」モーツアルト「フィガロの結婚」よりスザンナンのアリア「とうとう嬉しい時が来た」
3曲とも安心して聞けるまでに成長したと思えたステージになりましたね。
今後も発声の課題をクリアすべく、精進を続けてください。
特に「クロリスに」の表現力には感心しました。良く歌えていました。
鼻腔の響きはもう十分過ぎるほどにありますので、喉を脱力するために喉を開けることと、ブレス時のお腹を意識した発声を覚えてください。
ブレスと喉を開けることはつながっていますので。
ブレスのやり方と、歌うときのお腹から腰回りの筋肉が使えることを、さらに覚えて行ってください。。
アーン「クロリスに」ビゼー「カルメン」より「恋は野の花」アーン「恍惚の時」
KM
2曲とも、しっかりと安定した歌声でレベルの高さを感じました。
声量も十分で、彼女の持っている良い資質が発揮できた演奏だったと思います。
本番ということとホールの響きの特性もあり、やや頑張ってしまったために、喉が高い歌声になったのでしょう。
特に問題を感じるほどではないですが、もう少し声量を落として7割くらいの声量で歌えるようになると、より喉のリラックスしたビブラートのある歌声になるでしょう。
発声のことは、これからですね。身体と顔をなるべく動かさないことで、肉体をあたかも楽器のように扱う、ということをこれから覚えてください。
素晴らしい歌声が生まれると思います。
何事も経験ですので、これからも本番を重ねて上達してください。
ベッリーニ「お行きなさい、幸せなバラよ」
モーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」より「ぶってよマゼット」
TNA
やや緊張気味のフォーレ歌曲の歌い始めでしたが、アリアになるころには平常心を取り戻して、声量も声質も良く安心して聞ける演奏でした。
全体に目線がうつむき加減が強かったのを、意識して上げられるようになりましたし、アリアでは歌う表情も出せるようになりました。
アリアに限らず歌曲でも、目線や顔の表情をさらに意識して表現することも覚えて行ってください。
緊張を解くには言葉を明快に、はっきりと語る、ということだけに集中することです。
特に苦手らしい歌曲は、意味や表現という以前に、もっと多くの聴衆にハッキリ明快に語り欠ける、という意識を持つだけで劇的に良くなると思います。
次回は、その点を意識して歌曲に対処してみてください。
期待しております。
フォーレ「5月」
モーツアルト「ドン・ジョヴァンニ」より「おっしゃらないで、愛しい人よ」
ON
彼にしては全体的に声を抑制気味と感じる演奏でした。
それが今回の選曲にふさわしい落ち着いた良さを出していましたが、中高音域での不安定さが出てしまったという印象もありました。
良く練習して安定した演奏をいつも披露してくれます。
今後の課題としては、顔を上げないで鼻腔から前に声が出るような発声を中低音域で実現出来ると良いですね。
中音~中高音域のピッチの微妙な♭感が取れると思います。
それと、高音域で喉と軟口蓋を良く開けた発声が出来ると、ビブラートと音程感の合わさったより良い声楽的な歌声が発揮できると思います。
今後も期待しています。
ベッリーニ「フィッリデの悲しげな姿よ」
ドニゼッティ「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」
以前から課題であった、声がこもって♭気味になる点が改善出来てきました。
後、もう少しです。。
発声的には、重心を下にばかり感じないで、上に声を飛ばすというイメージをもっと強く持つこと。
一言で言えば、下半身はしっかりさせるが、声は上に向かうということです。
これは恐らくブレスの仕方と、歌うときのお腹周りの状態に依存するのだと思います。
とても良い声で歌える実力と可能性があるのですから、もう少し頑張ってください。期待しています!
トスティ「セレナータ」「ぼくは思っている」「虚しく」
GH
このところはバリトンらしい歌声という点を課題としていました。
これが功を奏して、音程良く落ち着いた歌声で安心して楽しめる演奏を披露してくれたと思います。
声量も十分で、声質もバリトンらしくなり、良い結果が出せました。
ほぼ言うべきことはないですが、強いて言えば発声上、声をもう少し前に出して明るい歌声を目指せるように研究してください。
具体的には母音のIとかEなどによる単母音での練習が効果を出すでしょう。
今後のさらなる向上に期待しております。
トスティ「悲しみ」
シューベルト「至福」
YY
プーランクのこの「偽りの婚約」は、歌うのは難しいと思います。
声楽的に良い声で歌えるだけではなく、都会的な育ちの良さのようなものが出ないと曲の持つ美点が発揮出来ないからです。
その点、彼女の演奏はこの歌曲集の美点を実にうまく表現出来たと思います。
声の響き、ニュアンス、表情、どれをとっても良く勉強されました。
ピアニストさんは右手に故障を抱えながら、プーランクらしいハーフトーンの美しい音色を表現していた点を高く評価します。
YYさんには、一つだけ課題を・・
声はとても良く響いていましたが、中音域の響きの質がややきついかな?と思われました。
鼻腔共鳴が上手く使えるようになりましたので、喉を開けることでもう少し柔らかくすると、また声のニュアンスに一段幅が出るでしょう。