アトリエムジカCの声楽レッスンは選曲の多様性に特徴があると自画自賛したくなる発表会になりました。
およそ2時間にわたる演奏時間でしたが、様々な声楽作品が披露されて退屈することがありませんでした。
リハーサルから聞き続けている私がそう思うのですから、お客様はなおのことと思うのです。
それぞれの声に違う個性が感じられた点も、退屈しない発表会になった理由だと思います。
また、ホールに合わない大き過ぎる声で歌わない、ということも退屈しない原因の一つではあると思います。
何ごともほどほどが一番よろしいのです。
しかし、改めて動画を見るとピアニストの力量に負うところも大きかったです。
ピアニストの皆様には、心からの感謝を申し上げたい。
ともあれ、ムジカーザというホールの良さが活きた素晴らしい発表会でした。
出演された皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。
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必要十分な音楽性を発露出来た演奏になりました。
間違いはありましたが、一般には分からない範囲で対処できた点において評価に値します。
声は喉は低く開いているがピッチは高い声、という意味で、彼も軟口蓋発声をもう少し伸ばしたいと感じました。特に中低音の滑らかで艶のある発声に必要なのです。
https://www.youtube.com/watch?v=NvIclp0OVAY&t=1s
SKM
アーン「クロリスに」
アーン「 恍惚の時 」
モーツァルト「恋とはどんなものかしら」
所々でとても良い声が出ていました。
惜しいのはブレスです。
本番の緊張でブレスが短くなるのは私も同じなのです。
ただ、短くなるブレスをどう演奏結果に悪影響を及ぼさないように対処するか?という発想を持ってください。
恐らく集中することのやり方、にあるのではないか?と思います。
演奏中の集中の仕方に目を向けてみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=NvIclp0OVAY&t=366s
SNT
フォーレ「祈りながら」
パーセル インドの女王から「恋の病から逃れようとしても」
モーツアルト オペラ フィガロの結婚から伯爵夫人のアリア「愛の神よ救いませ」
本番が一番しっかり良く歌えていたと思います。
声を出すために重心を低く意識することは大事ですが、声を前に明快に歌詞を語るように歌うことも、これから覚えて行ってください。
発声としては中低音域で軟口蓋を使った発声を覚えてください。良い音程でクリアな声で歌えるようになります。
https://www.youtube.com/watch?v=NvIclp0OVAY&t=972s
ドニゼッティ ランメルモールのルチアより『あたりは沈黙に閉ざされ』
中高音の音域の声が良い声が聞かれるようになりました。
また高音も音程感が良くなりました。
気管支を悪くした病み上がりなので、声のかすれが所々出てしまいましたが、これは想定内でしょう。
最高音もピタリと決まり、まずは好結果だと思います。
更に次回を期待しています。
https://www.youtube.com/watch?v=NvIclp0OVAY&t=1508s
ドビュッシー2つのロマンス
モーツアルト オペラ ドン・ジョヴァンニよりエルヴィーラのアリア「あの恩知らずは私を裏切り」
ドビュッシーの2曲は、曲の持つ静かな雰囲気が良く出せました。
微妙に喉の高い発声ですが、この点は今後の発声の課題としましょう。
モーツアルトのアリアは間違いがいくつかありましたが、止まらずに通せたから良しとしましょう。
プロでも本番の事故は多々あるものです。
そういうことより、むしろ発声を大事に次回への課題としてください。
ブレスの方法と歌う際の呼気の扱い方、という事が今後の課題ではないか思います。
https://www.youtube.com/watch?v=NvIclp0OVAY&t=2028s
プッチーニ オペラ ジャンニ・スキキッキより 「私のお父さん」
プッチーニ オペラ ラ・ボエームより ムゼッタのワルツ「私が町を歩くと」
歌の入りで一瞬以前の上がり症の再来を危惧しましたが、すぐに思い直してしっかりと歌い通せました。
これから覚えてほしいのは、歌声を力まずに声を前に軽く歌うように意識することです。
力が入ると声を飲み込んでしまうため、同じエネルギーを使っても声が通らなくなります。
お腹から腰は使うが、喉は極力脱力を大事にすることです。
https://www.youtube.com/watch?v=NvIclp0OVAY&t=2656s
トスティ「四月」
シューベルト「馭者クロノスに」
リハーサルから非常に良い声の状態が続いて、本番もそれが持続出来ました。
音楽性と歌声のバランスが良かったと思います。
男声の良さが楽しめる好演でした。
このところ音程を気にしないで、バリトンとしての声質を大事にしてもらいましたが、成功だったと確信しました。
この発声方法を今後も踏襲して歌い続けてください。
https://www.youtube.com/watch?v=erbXFcLYU2w&t=24s
林光「四つの夕暮れの歌」
詩情あふれる谷川俊太郎の詩と林光の音楽が楽しめました。
歌詞が良く判る歌になっていましたし、表情も良く伝えようとする意思が感じられた落ち着きのある好演でした。
歌声全体に力まない、頑張らないという発想が浸透してきたと思われます。
今後は、更に高音発声も頑張らないで軽く感じるくらいがちょうど良い、と点に留意して更に精進してください。
https://www.youtube.com/watch?v=erbXFcLYU2w&t=490s
私の愛の日々 ドナウディ
春なのに 菅野祥子
今回の演目は華やかなアリアではなかったのですが、対極にある地味ながらしっとりと聞かせる歌曲2曲でした。
弱声の使い方が上手くなりました。
選曲が解りやすく一般受けする曲なのですが、それだけに多様な表現が可能な選曲です。
今後も歌声の特に中低音の発声を明るくして、表現力の多様化に努めてください。
彼女の場合は、ヴァイオリンの音楽を聴くことでその声のイメージの助けになると言えるかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=erbXFcLYU2w&t=1110s
グリーク「6つの歌曲」
リハーサルでは歌声に力みがでていましたが、本番はうまく雰囲気に乗って、グリークの美しい歌曲の世界が楽しめる好演となりました。
声の響きも表情の変化があり、余裕を感じました。
彼女とのこれまでのレッスンを通して発声が音楽性を伸ばすということが証明されたと思います。
更に、喉を締めないで良く開いた発声を心がけた歌声になるようにお願いします。
https://www.youtube.com/watch?v=erbXFcLYU2w&t=1702s
グノーのミレイユより 「おお、軽やかな燕よ」
コロラトゥーラの難曲に挑戦でした。
確実に真摯に正確に歌えていました。
最後の最高音は綺麗に決まりましたが、途中のメリスマの最高音が少し歪んでしまった点が惜しかったのと、もう少し楽し気な音楽として演奏出来ていれば理想的でした。
喉で力まないで軽く息の力で回すような感じで歌えることを、このようなコロラトゥーラ作品で実現できることを目標としてください。
https://www.youtube.com/watch?v=erbXFcLYU2w&t=2558s
プーランク 「モンパルナス」「橋」「ローズモンド」
歌声の音楽性とプーランクの音楽がドンピシャで決まった好演でした。
歌詞が明瞭に歌えていたか?というとそうでもないのですが、メロディを歌う美しさが心を打つ演奏となりました。
プーランクはもともとフランス近代作曲家の中では稀代のメロディストですが、彼女の歌声の純粋さ素直さが、この曲でツボにはまったのだと思います。
今後は、加えてフランス語を語り歌う意思が明瞭になれば更に音楽性が向上しますし、今回歌ってもらった曲ですらその良さがより際立つでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=erbXFcLYU2w&t=2853s
J.S.バッハ カンタータ第78番「イエスよ、わが魂を」より第二曲 ソプラノとアリアの二重唱
こちらも真摯な姿勢の演奏で、二重唱の歌声がが上手くバランスできた演奏となりました。
アルトはもう少し響きが高く明るくなると良いかな?
伴奏合わせが1回だけだったので無理もないのですが、もう少しフレーズ感があって楽しそうにあるいは前向きな姿勢に見える演奏になれば理想でした。
機会があれば、またやってほしい名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=erbXFcLYU2w&t=3373s