コロナ禍の中を開催が危ぶまれた発表会でしたが、何とか開催にこぎつけることが出来ました。
昨年の10月も試演会という形で行いましたが、個人的に今回ほどの危機感はなかったと覚えています。
今回は総勢16名で、直前に体調不良の方が1名キャンセルになり、15名が昼から夜までという発表会形式ですから、主催者としても責任を重く感じてました。
ともあれ、皆さんの熱唱に気持ちも救われて良い会であったと思っています。
今回は、ムジカCでのコンサートがまったく初めての生徒さんが2名、発表会が初めての方が2名でした。
初めての方は緊張のあまりリハーサルでの練習が必要でしたが、全体的には安心して聴いていられる発表会でした。
コロナ禍ですが、今年もまた10月くらいを目途にして、小規模な試演会を行いたいと考えています。
今回出られなかった方と初心者の方を中心に行いたいと思います。
下記のイニシャルをクリックすると、各人へのリンク先に移動します。
KT
マンチャ「側にいることは」
スカルラッティ「陽はすでにガンジスから」
ベートーヴェン「私は君を愛している」
リハーサルでは緊張のせいか、音程などに不安がありましたが、本番は何か?開き直って声が良く出て気持ちよく歌えていたようです。
コロナ禍ということもありますが、後半にもう少しレッスン回数を重ねていれば不安も解消できたと思います。
独学ではなく、レッスンで経験を重ねることで課題を改善できますので、今後ともレッスンを中心に練習を重ねて次を目指してください。
https://www.youtube.com/watch?v=8RtKXa74Jdo&t=18s
MHM
ベッリーニ「六つのアリエッタ」より「喜ばせてあげてください」
ドビュッシー「美しき夕べ」
「忘れられし小唄」より「そはやるせなき」
こちらでの発表会は初めてでしたが、緊張の中にも安定した歌声を披露してくれました。
3曲とも、ほぼレッスンで教えたことが実現できていたと思います。
声の響きも良く出たし、ニュアンスや強弱も良く表現できていました。
ドビュッシーの歌曲では、作品の持つ独特の雰囲気や作風の特徴を良く表せていました。
声楽家としての良い喉を持っている方だと思いますので、更に今後に期待が高まります。
https://www.youtube.com/watch?v=8RtKXa74Jdo&t=444s
MO
クルティス「忘れな草」
ボノンチーニ「お前を讃える栄光のために」
彼の現状から見ると、ほぼ完ぺきな出来となりました。
動かずに歌うことによって、発声に無理がなく安定した歌唱となりました。
強いて言えば、その中で音楽そのものが現わしているキャラクターを、より積極的に歌に表現出来れば完ぺきでしたが、
これは今後の課題としましょう。
彼もバリトンとしての良い喉を持っています。
どうぞ大事に育ててください。
https://www.youtube.com/watch?v=8RtKXa74Jdo&t=953s
HH
ボノンチーニ「姿をかくさないで」
アーン「私のうたに翼があれば」
グノー「ファウスト」より「花の歌」
彼女らしい、清々しい元気の良い歌声を披露してくれたと思います。
邪気がなく真っすぐな歌声だと思います。
フランス語の発音をもう少し明快に出せると良かったです。
声楽的な発声法や技術論の知識以前に、クラシカルな声楽の歌唱スタイルを名人たちの演奏から学ぶと良いでしょう。
そこから発声法の意味がまた違った角度で分ってくると思います。
今後に期待します。
https://www.youtube.com/watch?v=NmkYc1bV0M8&t=19s
SKMM
カッチーニ「翼を持つ愛の神よ」
マンチャ「側にいることは」
ベッリーニ「優雅な月よ」
積極的な歌声で、イタリア古典とベッリーニの歌曲を披露してくれました。
一部で歌詞が途中で出なくなりましたが、とても沈着冷静に対処出来ていたと思います。
自分のスタイルと世界を持っていますので、声楽の歌唱スタイルや発声法についてはクラシック的な方法論を強要しませんが、ジャンルを超えた良い声は音楽の時代性やそのスタイルと結びついていますし、国が変わって歌詞の言語が変わると変わるものです。
その点を今後良く学んでもらえると、更に広い聴衆に訴える歌唱力を得られると思いました。
今後に期待します。
https://www.youtube.com/watch?v=NmkYc1bV0M8&t=517s
SK
シューベルト「糸を紡ぐグレートヒェン」
ヴェルディ「リゴレット」より「慕わしい人の名」
緊張を感じさせない、集中の良い落ち着いた歌唱力でレッスン時と変わりありませんでした。
彼女の特質である、コロラトゥーラのレッジェーロな歌声が良く披露出来ていたと思います。
細かいことですが、中低音の声はレッスン時を考えればもう少し出せたと思います。
それはブレスと喉との関係で緊張があり、結果的に喉が高くなったのかもしれません。
更に発声と呼吸法の技術を磨いて、重心の低い落ち着いた中低音の発声を会得してください。
期待しております。
https://www.youtube.com/watch?v=NmkYc1bV0M8&t=1006s
SKM
ヘンデル「私を泣かせて」
ドナウディ「ああ、愛する人の」
非常に集中力の良い歌唱で、聴くものを惹きつける魅力がありました。
声楽的に言えば、声質の面でもう少しお腹のついた声になってほしいところです。
ブレスの仕方と喉の扱い方において、特に喉が緊張しやすい点が課題でしょう。
それが技術的にブレスの短さにつながっているので、更に重心を低く喉を下げた発声を覚えるとブレスも長く持つでしょう。
このことで歌声の表現幅が飛躍的に拡がるのです。
集中力の良い歌心を持っていますので、更に今後に期待します。
https://www.youtube.com/watch?v=3yW8Z9ZKQI4&t=15s
MMT
フォーレ
「イスパハンのバラ」
「消えない薫り」
「バラ」
良い声と良い声量を持っていて、実力のある方だと感じさせられました。
ただ伴奏合わせが時間がなく出来なかったせいか、アンサンブルにおいて微妙に不安が残りました。
声とピアノとの関係をもう少し詰められれば、フォーレの素晴らしい音楽が更に発揮出来たでしょう。
フォーレの歌曲のような作品の演奏は、単に声が良く響いているかどうか?以上にピアノの響きとのアンサンブルがとても重要なのです。
この点、特に声を響かせやすい中音~中高音のピッチに注意して勉強されてください。
あと、歌うときは極力目を開けて歌った方が良いと思います。ステージングということと発声という両方の観点からです。
今後のご活躍を期待しております。
https://www.youtube.com/watch?v=3yW8Z9ZKQI4&t=666s