アーティキュレーションということを考えてみたく、カテゴリーを作りました。
アーティキュレーションとは何でしょうか?
演奏表現のために必要なテクニックのことです。
例えば、ある文章を読んで、それを聞く人が理解出来るように読む技術にとても似ています。
朗読の技術です。
同様に、聴衆が聴いて音楽を理解できるようにするための、譜面解釈の方法です。
現代譜は、特に器楽の発達に伴って進化してきた作品の、複雑になった音楽構成を奏者が理解して演奏するために進化して来ました。
ところが、このことによって失われてしまった要素があります。
それは、音楽でもっとも重要な役割をするメロディを歌うことが譜面で表現し切れなくしてしまったことにあります。
たとえば、4拍子の一つのメロディラインが4小節に渡って書かれていたとします。
しかし4つの小節線で区切られていることを見ると、無意識で区切りを感じてしまわないでしょうか?
本来は区切りは必要ないのですが、4拍子というリズム設定で作品全体に整合性を持たせるために、小節線が引かれてしまうわけです。
一つの楽器、あるいは歌声の技術に習熟したものであれば、この不完全な譜面からメロディが本来持っている生命力を復活させることが出来るわけです。
メロディの生命力の源とは何でしょうか?
音高とリズムの密接な関係にあります。
音の変化を誘発するリズムの変化を意味します。
音高を変化させるためには、それを誘発する力の強弱が必要である、という考え方です。
音が跳躍したり下降したりすると、その音の変化に身体が反応します。
同様にメロディを始めるとき、そして上に昇るとき、あるいは下るときにも微妙な力の変化が生じています。
この点については、次回に譜面を起こして解説してみたいと思います。
さて、現代譜が抱える一番の問題は、複雑な音楽をなるべく短時間で譜読みをするために、、内在するリズム変化を細かく指定しなくなっていることにあると考えています。
メロディだけに関して言えば、1000年前に存在していた記譜法には、この音高の変化と内在するリズム変化が表現されていました。
いわゆる「グレゴリオ聖歌」で使われていた記譜のスタイルです。
これも次回以降に譜面を添付してみたいと思っています。