声量十分で音程も悪くない、リズム感も正しく歌っているにもかかわらず、どことは言えずぎごちない演奏と感じることが良くあります。

この理由として・・・・

一番の原因は、声量(声の響き)だけに、意識が偏ってしまうのではないでしょうか?

推奨する練習方法は3点。

1、徹底して弱声で歌う
2、徹底してレガートを心がける
3、発音を明快にする

音楽的で明快な演奏になるでしょう。
音楽的の意味は、ピアノ伴奏と歌声とのバランス、和音感というアンサンブル感が密になるということです。

メロディを丁寧に歌いこんでいる印象が前に出て、それが聴衆にとって受け入れられる大きな要素になります。

ただ弱声唱法は、基礎がない人が挑戦するには指導者による厳格な指導が必須です。

伴奏ピアニストは、歌手の歌声を十分に聴くだけの余裕がなければなりません。
当然音量のバランスに注意深さが必要です。

ソロピアノはどうでしょうか?

速いパッセージを良い響きで弾こうとすると、腕や手の運動と音楽を歌うこととの同期が上手く働かなくなるのではないでしょうか?

見聞きした範囲での私の意見としては、音楽的なリズム感に問題を感じます。
速いパッセージはやたらと速いのだが、リズム感が弛緩すべきパッセージでも全く同じテンポで弾いてしまう、といった具合。

つまり、手指そのものが記憶している動きがオートマティックに譜面の音符を運動しているだけで、脳内で歌っている感覚とマッチングしていない。
あるいは脳がまったく歌えていないのかもしれません。

頭で歌う働きが要求される演奏のテンポに追い付けないか、ただの運動で終わっているということです。
音楽とスポーツは違うでしょう。
あるいはスポーツといえども、機械的、即物的ではないはず。

腕や手指は記憶力でオートマティックに速度に追い付けるが、脳内で歌えないぐらい難しいパッセージを作曲家が譜面に書き込んでいるわけです。

ピアニストではない私が提案して、効果があるか?わかりませんが、思いついた練習方法を挙げてみます。

1、特に速いパッセージを弾くときに、声に出してみることです。

もちろん、歌声のように音程とリズムを正確になぞるのは無理なことが多いです。
直接歌うのではなく、タラララ~でもバ~でも何でもよいので、低めのささやき声のレベルで息を吐く行為をピアノのフレーズと共にやってみること。
従って強音の時は、呼気を強く吐きますし、弱音のフレーズは息を極力抑えて均等に吐き出します。

やってはいけないことは、息を止めてしまうことです。
息を止めてしまうと、筋肉が硬直してしまうでしょう。

2、結果的にテンポを遅くして練習する。
テンポを遅くすることで、その音楽本来のリズム感が理解できてくるはずです。