プーランクを練習するたび、アポリネールの詩に付けた曲の方が自分には歌い易いな、と感じるのです。
歌っていて、あるいは聴いていても、エリュアールは綺麗だと思いますが、どこか他人事のような、他人の痛みのような感覚が付きまとうのです。
これはまったく勝手なイメージですが・・・
ぼくにはエリュアールのような頭の良さも、恰好の良さも格好の付け方も、本来身に備わってない。
もっと下品で喧嘩早くて暑苦しい人間だ。
アポリネールの方が、とっちらかった情熱だけは人並み以上にあって、バカバカしくて子供っぽく、うざったい。
そんなうざったさが恰好悪くはあるけど、格好の付けなさ具合がまた自分らしい気がするのだ、と。
ベルナックの歌う「モンパルナス」を聴いて、彼の歌うテンポの意味がほぼ判りました。
彼の歌う「モンパルナス」は、モンパルナスを過ごした青春時代を、焦燥とメランコリーを混ぜて解説する悲しみの表現なのだね・・・
テンポというのは、本当に大切ですね。
最後の最後まで、テンポは悩むべきです。
それは理論だけではなくて、直感です。
これだ!というテンポが決まるまで、試行錯誤すべきでしょう。
モンパルナスの場合、歌い過ぎないことが、この歌の詩情を、じめじめさせずに表現する要になるでしょう。
シンコペーションで淡々と進む伴奏形は、葬送行進曲、だと自分は今まで思い込んでいましたが、違ってた。
むしろストーリーを語る朗読の淡々と進む調子なのだ、と。
やはり名人の音楽は聴くものですね。判らない時はいっそのこと、そっくりコピーしてみるのも良いと思いました。
但し声の出来ていない人には勧めない方法です。
自分がそうでしたが、ほとんど意味がないのです。
プーランクの歌曲「モンパルナス」
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