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これは親父の形見の楽譜。
春秋社で昭和7年印刷、発行の「近代音楽全集」という近代作曲家の作品ばかりを集めた
ピアノ作品集だ。
これをピアノを弾き始めた頃に、えっちらおっちら譜読みをして、ピアノを楽しんだ。
なぜこの曲を?というのも、独学で指が使えなかったので、和音を弾くのであれば、最も楽に生のピアノ音楽を楽しむことが出来たからだ。
自分で弾いてみて、実際、この曲のサウンドは素晴らしかった。
5度や8度のオクターブ奏法によって、東洋的なイメージや、深く澄んだ水の様子が良く表現されていて飽きなかった。
フォルテでガ~ンと両手の和音を弾くと、微妙に唸る和音の濁りが心地よく、またPPで弾くオクターブの並行和音は美しかった。
自分で音を確かめる、音楽を肌で感じることの喜びは、このピアノを弾くことから入った。
そして歌でプロの世界に入って行ったけども、これが難しかった。
でも、このピアノの音に目覚めたこだわりが、結果的に今の声楽の耳を育てる基本だったのだろう。
クラシック音楽の醍醐味、というのは、それぞれ感じることや目指すことがあるだろうけど、自分にとっては
「音質」と一言でまとめたい。
どんなにリズム感が良くても或いは音楽の流れが良かったとしても、音質の悪い楽器の音や悪い声は、作品の持つ真の豊かさを壊してしまうと思うからだ。