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もう再来週のことですが、フランス歌曲、ドビュッシーばかりの声楽作品をやるコンサートに出演します。
お時間のある方はどうぞ来てください。
来られた場合は、会場受付で「山中の客」と言ってチケットを求めてください。
よろしくお願いします。
私の歌うものは、ヴェルレーヌという詩人の作詞のもの3曲対の歌曲集「艶なる宴2」そして、バロックの詩人トリスタン・レルミトゥという詩人の作品で
これも同じく3曲対の歌曲集で「恋人たちの散歩道」というものです。全部で6曲歌うわけです。
2つあわせても16分くらいのものです。
ヴェルレーヌの方は1曲目が「初心者」という題で、ピアノの前奏がまるで蚊がぷ~んと飛び回るような不思議な音で始まります。
例えば・・・1曲目の「初心者」の詩を出します。
「高いかかとが長いもすそと戯れる。地面と風のめぐり合わせで時々は足の付け根がちらりちらりと光ます。見えて隠れて~このはぐらかしは面白い
やきもち焼きの羽虫の針が頃を見て、茂みの下で娘のくびを脅かす。するとたちまち白いうなじが光ります。このご馳走は若い僕らの眼の保養」要するに若気の至りを回顧的な視線で歌った詩。
2曲目は「半獣神」という陶器で出来た不気味な顔の半獣神の人形の雰囲気と、祝福されない愛の世界に入っていく、後ろめたさと動物的な情欲の世界の雰囲気を、遠くに聞こえるタンバリンの単純なリズムで表しているようです。
最後は「わびしい対話」というタイトルで「誰もいないはずの古く冷たい公園で、気づくと二人の恋人たちの別れ話が聞こえる。。」といったシリアスでポエティックな歌とも詩の朗読ともいえないような歌が続きます。
ヴェルレーヌらしい寂しさと異端な詩情が描出された、モノトーンな音楽で、ドビュッシーでなければとても描けなかった、歌曲だと思います。まさしく佳曲でしょう。
トリスタン・レルミトゥのほうは、バロックらしい鷹揚な内容の詩で、中低音の男声をテーマにした貴族的な歌です。
1曲目が洞窟のポタン、ポタンと垂れる水の音がピアノ伴奏のモチーフになっていて、洞窟の雰囲気をテーマに、ギリシャ的なナルシスと泉の話が主体になっています。
2曲目が、なかなか男らしく素敵な歌で、「我が勧めを信ぜよ」という題名。クリメーヌ嬢を口説くわけですが、その言い方が、フランス的にわざとらしく、またヒロイック。
しかし最後の「においに充る西風の口は、われらの道に吹き、ジャスミンの精を君の優しき吐息の龍涎香に混ぜて」というエロティックですらあるフレーズの音楽が素敵ですよ。
3曲目が花の香りのする、これもバロック的な優雅な作品、題名が「われはおののく」詩の最初は・・・「われはおののく、君の面輪の我が望みと共に揺るるを見て。さばかりにわれは恐る、わがため息に君の面輪の難破せんことを」
これらの詩は、バロックということもありますが、文語体だと、また素敵じゃありませんか?
声はバリトン、音楽的にも高低差があまりなく、メロディアスというよりも、詩の朗読に色を付けたようなドビュッシー晩年の作風らしいシックな味わいに満ちた作品ばかりです。
地味だな~、メロディアスじゃないな~と、と考える貴方!には決してお勧めしません。来ないほうが良いと思われます(言わなくても来ないと思いますが)笑
いや、失礼!
ただ、ここで私が宣伝している意味は、真に興味ある諸兄諸氏にこそ来て頂きたいし、私の歌を聴いて、どんな素朴な感想でも良いから、実直な感想を聞かせてくれ、と思ってのことなのです。
伴奏は、今回は加納悟郎先生です。これまた素敵な達人ですので、私も合わせが大変楽しみです。
乞うご期待!です。