「夢の後に」声楽的アナリゼ・・・その2へ

ガブリエルフォーレの歌曲「夢の後に」の声楽的アナリゼ・・・

ぼくは、声楽を学び始めてから一貫してフランス歌曲を歌い続けてきました。
ぼく自身が今までの経験から皆さんに紹介できることは、発声やフランス語の発音、などと言った個別的な問題と共に、具体的に歌をどう歌うか?ということだと思いました。
ここでは、フランス歌曲の作家の中でももっとも有名である、ガブリエル・フォーレの初期の作品から、「夢の後に」を分析したいと思います。

まず、フォーレ歌曲の旋律の特徴は、切れ目なく続く長いフレーズが初期から後期までの一貫した特徴です。
これは、グレゴリオ聖歌にも良くみられますが、言葉に忠実な動律と音楽的な動律の組み合わせによってフレーズと全体的な音楽の構成がなされているということです。
→楽譜1

この曲の中で最も難しいのが、最初の声のアタックです。要するに出だし。
最新の注意を払って声を出さなければなりません。Dの発音は普通舌を打ち付けるTの発音と同じですが、強く子音を出すと音程が低くなります。いわゆる、下の声(胸声)ではなく、上の声(頭声)を出すために子音は柔らかくなければ行けません。そしてSOMMEILのSOで、足を踏ん張って上に登る勢いを得ます。しかし、これもUN・・厳密にはリエゾンしてますから、その前のSを入れたZEナザール・・ザ〜〜ンで完全に上の音程に乗せていなければなりません。ここさえ決まっていれば、SOMMEILのSO=ミ♭の音程と音色は決まったも同然なのです。このSOMMEILまで息をうまく乗せて引っ張れればあとは、TON IMAGEの終止はおまけみたいなもの笑!自然に任せていれば良いのです。
ただし・・・・SOMMEILのEの母音の発声は、出し易い高さの音域でもあるため、開いて声を出し過ぎる傾向があります。
これは、音程の微妙な下がりと、曲想からいって非常に下品な音楽を作る大きな原因になります。
あくまで、スリムな美しい音程感を保ちましょう。

ここで、ピアニストの皆さんへ・・・・楽譜2・・・特にSOMMEILの部分、歌い上げるためのピアノ伴奏の意義はとても重要です。ME・・・の部分に入る第一拍ベースの入りを特に注意して下さい。そして、QUE CHARMAIT
と続く三連符のボカリーズ部分はどんどん歌を引っ張ってあげてください。
ここは、曲の冒頭、たった一小節だけのピアノの前奏部分です。ここが決まらないと歌手はうまく入れません。
メトロノームのように、機械のように八分音符をぶっ叩くのだけは止めて下さい!
これは、私の好みですが・・・ほんの少し、テンポより遅目に入り、歌のブレスを導くようにテンポを上げて下さい。それをこの一小節の間に表現するのです。続く・・・・






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