TK

11月のコンサートに向けての伴奏合わせでした。
まずはヘンデルからでした。Lascia ch’io piangaから。
これは、テンポが速すぎないよう、落ち着いてじっくりと取り組んでください。
それから、中低音の声はポジションが上ずらないように、顎を楽に降ろして喉を拡げた発声を意識されてください。
喉をひろげると、低音の響きがすっぽ抜ける意識があると思いますが、それを嫌がって、閉じると結局低音の良い響きが出ないので、慣れてください。
Se pensi amor
これは、中間部のテンポを指示がないですが、遅くしました。そのことで、中間に出てくるメッザヴォーチェの声の処理をし易くしました。その代わり後半のクレッシェンドでテンポを戻すようにしてください。

ロッシーニUna voce
これは、ピアノ伴奏にお願いしたいのが、テンポの緩急です。
アジリタの面白さと、高音のメリスマが中心ですから、その点で歌手がもっともっと遊び心をはぐくめるように動いてもらいました。
詳細は省略します。特に途中のAllegroになってからです。
また歌う人も、テンポの変化や、緩急をもと自由につけて楽しんで歌うまでになってください。

日本歌曲の3曲は、いずれもテンポ設定は良かったです。
1曲目の「うばぐるま」は、冒頭のメロディの歌詞が良く判らなかったので、気を付けてもらいました。
「今日は~」のところです。
2曲目の「風の子供」は「ちんからころりと」のRitからテンポは急激に戻して下さい。
「たあんきぽーんき」はとても良かったです。
伴奏が大きいと、低音の声が聞こえないので、前奏から歌には行ったら少し音量を落とすべきでしょう。

全般的なことですが、中低音は締めて出さないように気を付けて下さい。
開けないで締めると、声が温まっていないうちは響きが当りますが、逆に高音発声をやって喉が温まると、出なくなります。
最初からきちっと喉を拡げるようにして、ポジションをつかむようにしてみてください。

FY

発声の声は良い感触です。喉を押さないで丁寧に低音から徐々に声を出して行くことが良いこと、と思います。
この中低音で力まないことが、自然に声のチェンジが出来る原因になっていると思います。
ただ2点Aから上はまだ難しいですが、焦らないで少しずつ伸ばして行きましょう。
丁寧に良い声を作って行けば、いずれ高音はもっと上に伸びると思います。

曲はコンコーネ11番から始めました。声の課題はあまりないですが、フレーズのリズム感、あるいは音符の形が不明瞭な点を指摘しました。
単に、付点8分音符と16分音符の組み合わせによるリズムの形がはっきりしないということです。
良く云えば声の扱いがレガートですが、音符の形、特に跳ねる音形は大事にしてください。

発声的に課題になっていることは、低音の1点Eから下の声です。
恐らく声が温まると改善されるレベルだと思います。
喉が温まらないうちは、あまり響かせようと焦らない方が良さそうです。

イタリア古典歌曲集から、Oh cessate di piagarmi
良く歌えていましたので、楽譜に書いてあるダイナミックの差を、意識してもらって練習しました。
PPからmfまでダイナミックに幅があります。そのダイナミックとテンポを絡めて考えて下さい。
実際は伴奏のピアニストの力量でいかようにでもなると思います。
特に繰り返されるLucin grate di spietateのクレッシェンドのあとに、PPの指定があるFredde e sorde a’miei martir
の歌詞の意味を良く考えたPPの声をイメージして下さい。                                        

Nel cor piu non mi sento
声は、予想以上に、フレーズ内の高音発声の処理が上手く出来ていました。この曲では、ほとんど問題ないです。
曲想は、やはりダイナミックの差を良く考えて付けて下さい。
ただ、この曲では発音を丁寧に大切に扱って下さい。声を小さく歌う所ほど、発音のめりはりははっきりと出すべきです。
そのためには子音発音を大切にしてください。

モーツアルトの「フィガロの結婚」からVoi che s’apete
一通り母音で歌ってから、イタリア語の読みを練習して、歌詞で歌うまでをやりました。
この曲も音域的にはちょうど良いつぼにはまっています。
イタリア語の歌詞発音を明快にすることをしばらく積み重ねて行きたいと思います。