TK
ヘンデルのLascia ch’io piangaそして、Se pensi amorから始め、バッハの二重唱、そしてロッシーニのUna Voce
日本歌曲の「6つの子供の歌」から「うば車」「風の子供」そして「たあんき ぽーんき」
全曲をざっと通して始めました。
ヘンデルのSe psensi amorは、軽快で美しい音楽に仕上がっていました。
高音もクリアで美しい声でした。
バッハの二重唱は伴奏が速すぎたので修正してもらいました。
軽快に歩くテンポ、をイメージするべきでしょう。
ロッシーニ「今の歌声は」
前奏がオペラらしく立派なのですが、歌声の入りが低音のせいもあり、重くなってしまうので、前奏よりも少し速め、軽く感じて歌い出す方がちょうど良いです。
次の間奏があるAllegroで、ピアノ伴奏はテンポを落ち着いて始めて下さい。
Allegroでも、一番遅いくらいでちょうど良いです。なぜなら、途中でテンポをアッチェレする可能性もあります。
アッチェレして歌手が歌い易いテンポを考えて下さい。
また、元に戻るところも、忘れないように。
日本歌曲「うば車」フレーズの終わりが一般にディミニュエンドして消えて行く感じが、この曲のイメージに相応しいので、
フレーズ終わりをブレスのせいで切れないように、ピアノ伴奏の音に消え入るように処理することが大切です。
次の「風の子供」は、途中の「ちんからからりと鳴り出すと~」で、Ritですが、RitとA tempoが判り難いので、早い段階でRitしてもらいました。
2番も同じです。曲の終わりもRitして綺麗にディミニュエンドしてください。
MT
彼も続けて伴奏合わせでした。
バッハのカンタータ2曲。声が温まらず、少し声の響きに雑な所が散見されましたが、元より音程の良い声で、無理をしない発声なので、
バッハの作品はその美しさが素朴に出て来ます。
クイルターは、少し英語の発音がレガートにならない点が強いて言えば気になりますが、滑らかに歌えているし、これも
声の扱いが繊細なので、ほとんど気にならないレベルです。
レハールのオペレッタのアリア、2曲が彼の今回の歌唱の中でもっとも声を張る歌になりますし、また音域も広いです。
その意味で彼の良い声を味わえる作品です。
高音が綺麗に声帯の合わさった声で、彼の発声の中では、もっとも完璧な響きでした。
勇壮な表現も叶ったものと感じました。
日本歌曲は、少し練習を重ねました。
「初恋」は、当初声を抑えて歌うせいもあり、声質が少し乱れる感じ気になりました。
また、男性の歌なので、普通の意味で男性らしく歌う方が良いと感じました。
PPやMPなどP系のダイナミックスの基準を上げて、もう少し声を張った基準にしてもらいました。
次の「からたち」もダイナミックスの考え方は同じです。
PやPPの表現は、難しいです。
声の響きに支えが必要ですし、また、声の響きを張り過ぎないで少し曇りガラスを通したような声の効果も必要です。
その上で音程も確保しなければいけません。
この基準を最低限満たせる範囲で、声のダイナミクスを抑制してください。
また、一番大事なことは声を抑制した意味を感じているかどうか?にあると思います。
MM
BachのDu bist bei mir
声量の抑制やコントローすということは、発声の大事なテクニックであることを判って下さい。
普通の意味で、大きな声を出すと言う感覚は、発声では良い発声に繋がりません。
最終的に良い声質で声量のある声を出すためには、抑制することも覚える必要があるのです。
最初のBiを発声する時点で、声の響きを上顎から上で響かせる意識です。
声に芯をつけようとしてはいけません。
ただし、支えのある声でなくてはいけないため、あたかもストローで水を吸い込むように息を吸うと、
鼻腔奥に空間が出来ると思います。
空間が出来るのは、喉が適度に下がっている(上がらない)条件もありますので、姿勢も大切です。
2点Gから上になると、声帯を伸ばさないと音程が出ないです。
その場合、喉を締めないで子音処理を利用することで、声帯を伸ばすようにすることです。
また、逆に喉が上がらないようにするためには、特に狭母音では唇を突き出すように使うことが大切です。
唇、特に下唇は喉頭の上がりを抑えますし、上唇は軟口蓋を上げることに関連します。
プッチーニ「ドレッタの夢」は、伴奏なしで歌ってもらい、身体の状態をチェックし、ブレスと声の出し始めの準備を
全部確認しました。
当面の目標は、喉を締めないで最後まで落ちないで歌えることです。
この場合は、音程の♭な面はあまり気にしないように。
気にすると締まります。
その分を、喉の準備、あるいは音程上昇の際に軟口蓋を良く上げること、に集中して下さい。
以上のことを徹底して出来るようになって、まず当面の目標を完遂してください。