UM

今回のレッスンのポイントは、2点E~Fの辺りの発声になりました。
この解決方法の基本的な考え方は、音程差があるフレーズを歌う際に、発声を固定的にしないことです。
特に口の開口については、もっと柔軟に使えるようになってください。

口の開け方としてもっとも良くないのが、音程を上げようとして横に引くことです。
特に2点Eから声のチェンジが始まるわけですが、その際に口を横に引いてしまうことが喉に引っかかる原因になっています。
この行為が単純に喉を締めることにつながるからです。

上向フレーズで口を開けて行こう、と言う場合、上あごや上唇を上に持ち上げるように意識して開けてください。
あるいは、口の奥喉の上を拡げるような意識で口を開けて行っても良いです。
ただ、この点でくれぐれも勘違いしないでほしいのは、この行為をするために、フレーズに入る時から意識して構えてしまうことです。
すなわち、下顎を降ろして形を作っておいて・・ということはしない方が良いです。
むしろ、歌い出しはあまり力まないことで、喉や顎などリラックスさせておいてください。
そのことで、その後に筋肉を使うことが柔軟に出来るようになるからです。

発声の課題、もう一点は、声を出し始める際、喉を良く落とした状態を意識することです。
喉を落とすとは、リラックスさせることです。
音程や裏声傾向があるため、女性は一般に喉の重心が高くなりがちですが、呼吸法と声の出し始めをお腹に位置させることで、芯のある声になります。
この状態を体感し、覚えてもらいます。

コンコーネ24番は、上記の発声を徹底したことで、ほぼ解決できたと思います。
また、Lascia ch’io piangaも、上記の声の出し始めの喉の落ち着きと、高音の喉の拡がりを意識することで、改善されました。
第九のソプラノパートで、前回に続いて2点Gから続く高音のフレーズの練習をしました。

狭母音Uberで始まるのですが、無意識で顎を出ししまわないように、首の後ろを真っすぐに立てるように意識することで、顔全体が前に出ない姿勢になります。
この状態の姿勢を堅持すること。
そして、下顎を出さないで、唇を突き出すように丸い口の開け方でブレスをし、そのまま上あごから上の響きで発声するようにしてください。
声の出し始めを、軟口蓋に位置することで、喉を強く当ててしまうことが回避されます。

上手く行くと、頭声にチェンジした響きが得られました。
完全ではありませんが、このやり方で上手く行った響きが、現在UMさんが出来る発声上の高音のフォルテ、と思って、抑制と響きの安定に努めてください。

YA

この数カ月のレッスンは決して回数は多くなかったですが、確実に発声の改善に向かった、と感じられた今日のレッスンでした。
ブレス、お腹の支え、喉の使い方、様々な角度から教えて来ましたが、統一が取れつつあると感じられたのは、発声の理解と実行が進んだ結果でしょう。

今回は、声の重心を低く構えることを練習しました。
声の出し始めを高く感じないで、一瞬お腹のみぞおち、胃のあたりに感じてで出すことです。
これで中低音は息漏れが少なくなり、声帯が合わさる感じが作り易いはずです。
芯のある歌声になれば良いです。

あとは、2点E~Fからはチェンジして良いですが、声の出し始めの重心は常に一定で、低い意識がある方が良いでしょう。
またチェンジしてからも口を開け過ぎないことで、声の響きに密度が増すと思います。
上顎、或いは上唇の動きがまだまだ硬いです。
鼻腔の響きが使いやすくなるため、高音の声が前に響く声になって来ると思います。

ヘンデルLet me wander,メサイアのアリア、But thou didst not leave his soul in Hell
シュトラウスの「万霊節」」フォーレの歌曲「マンドリン」と練習をしました。

ヘンデルの2曲は、大分発音も明快になり、高音の発声も安定してきた印象です。
また「万霊節」は、高音から低音に戻る形の場合に、良い低音発声に戻れることが、一つの良い発声の基準と云うこと。
この点を重視しました。要するに高音のチェンジで、完全に喉の上がったファルセットにならないで発声出来ることは、ブレスから歌う際のお腹廻りの使い方が意識出来ているかどうか?支えが効いているかどうか?ということにかかっています。

もっとも練習したのが「マンドリン」です。
フレーズ毎に、声の出し始めの対応、高音のチェンジの対応、そのために必要な喉の開け方などをチェックして通して行きました。
こちらの意図を概ね理解して実行出来るレベルになったので、ひとまず安心と云う状態でしょうか。
しかし、まだ元の声に戻る傾向があるので、気を緩めないで現在の発声に努めてください。

FY

発声の声は声量が安定してきたな、という印象でした。
声が積極的に前に出ています。
特に5線の中の声は、声量が平均的に上がりました。音程感も良く、明るく良い声だと思います。
2点Eから声がチェンジする傾向が強いですが、これも口の開け方に工夫が凝らされており、口腔内の共鳴を上手く使った
支えのある発声になっていると思います。

この点は評価できますが、2点Aくらいから更に声はチェンジ傾向になるため、ここから先は喉が締まってしまい、細くなってしまいます。
ここが、今後の工夫のしどころでしょう。
喉を上げないように対処するためには、唇を突き出すように使ったり、あるいは口を横開きにならずに、縦に開けるように柔軟に対処出来ることが必要です。
要するにフレーズを歌う際に、喉の状態を勘案して、口の開け方や唇の使い方を柔軟に対処出来るかどうか?ということが鍵になります。

コンコーネの15番は、苦手なシンコペーションも綺麗に決まって、ほぼ完璧に歌えました。
全体に声の音程感が良く低音の換声も非常に滑らかに対処出来ており、滑らかさが出せて来ました。

曲はLascia ch’io piangaを練習しました。
あらためて、レシタティーヴォのリズムの確認から始めました。
速いテンポで練習すると、一応出来ているのですが、どこか不安定感があったので、あえて倍のゆっくりさで練習しました。
本来このゆっくりが基本テンポでした。
そうすると、一部リズムを勘違いしているところが出て来ます。

リズムの練習は、早いテンポで出来たら、逆に倍くらいゆっくりにしても、同じことが出来るかどうか?練習してみてください。
このように、テンポを変えても出来ることによって、頭で理解したことと、身体の理解の一致が確認出来ると思います。
また、高音域も良く発声出来ています。
お腹の張りと共に、喉の重心が動かないように、口を開け過ぎないで対処すると、良いフォームが決まって来るでしょう。

最後に、モーツアルトのDans un bois solitaireを一回通しました。
喉が疲れたようで、やや声の響きが薄い感じでしたが、やはり音程感の良さが活きていると思います。
次回、もう少し詳しくやれればと思いました。