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前回に引き続き、トマのハムレットからオフェリアのアリアを練習しました。
その前に、発声代わりにヴィヴァルディのVedro con mio dilettoを一回歌いました。
イタリアン・バロックらしい美しくノーブルな作品です。
オフェリアのアリア、高音のチェンジから上の声はとても訓練が行き届いています。
もちろん、もっと良くなるでしょう。現在は頭声の勝った抑制の効いた声の方向性が訓練されているのだと思います。
これがあるからこそ、アクートな響きの効果が出て来るでしょうが、彼女の場合は気を付けないと分厚くなってしまいます。
この点を注意しながら、Mf以上の声の響きを音程を犠牲にしないで、訓練して行くことも必要でしょう。
指摘したことは、前回に引き続いて中低音の声。前に出過ぎていて浅い響きになっており、少し邦楽的な母音の響きに感じることがありました。
顔を前に出さないで、頭がしっかり胴体の上に乗っていて、歌いながらその頭が動かない、ということが大事です。
最後にやってみましたが、少し深すぎる発声になりますが、高い響きを意識出来ていれば明るい声になると思います。
もちろん体感的には、前に出すより明るく感じませんが、浅い邦楽的な響きにならない良い声になるので、覚えてください。
あとはAndante con motoからのテンポの設定と表現を決めました。
前回ブレスしない方が、と云いましたが、ブレスをしないとフレーズの終わりの収まりが寸短になるため、ブレスを入れてじっくり歌ってもらいました。ただ、まだブレスが短いように思います。それからフェルマータも短いですし、Ritも充分出来ていないです。
このため、この1ページの表現の深み、演技力がもう少し発揮出来ていないように思います。
良い声が出せているので、惜しいなと思いました。
その後のダンスを想わせる、ラララで歌う2拍子の節は、Allegrettoのままで云った方が、この曲調が活きると思います。
発音ですが、Fの子音発音はうまいですが、Dが弱いです。特にDormirのDは語感が活きるので、子音発音に工夫されて下さい。
RegardのGaは、ギャとならない方が良いです。パリの方言なのでしゃべり言葉の発音になります。劇場や詩の朗読向けではないと思います。
全体に高音発声と、速いテンポに真骨頂がありますが、中低音の適度な深みと、ゆったりした音楽作りにあと一歩の感が強いです。
音楽的にしっかり意識されたブレスを含めて課題とされて下さい。
最後にRameauのLes indes galantesを歌ってもらいました。
テンポを決めるためなのか、身体が動き過ぎて見ていて気になりますし、発声的にも良くないと思います。
それは腕から方が力んでしまうことになるでしょう。
冒頭に書いたように、顎を前に出さないでしっかり首で支えた状態を維持したフォームで歌うように、かなり強制的な練習をすることもトライしてみてください。