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ヴィヴァルディのアリアを、軽く発声練習代わりに始めました。
歌っている様子を見ていると、下顎に余計な力や踏ん張りがなく、良い発声フォームと思えますが、軟口蓋から鼻腔に導く発声の器官が開発途上と思われました。
力みがないのは声量を抑制しているからと思いますが、メッザヴォーチェにしても声の響きを作る器官を良く働かせることに変わりはありません。
いわゆる「喉を開ける」という言葉の意味は、気道を拡張することではなく、鼻腔を開く(軟口蓋を開ける)ような意識が、声を音程良く良く通る響きにする効果を表わしているのではないでしょうか。
恐らく意識はされている、と思いますが、鼻先に集まっている感じになっていないでしょうか?
鼻先に集めると鼻声っぽくなり、平たい浅い声になるので要注意です。
それはトマの「ハムレット」を通して聴いて見ても、ある程度感じたことです。
それでも、以前に比べると中低音の力みは激減しました。
中低音は、軽い発声をするとしても、声帯は綺麗に使う程度の発声の意識は最低限必要です。
今の段階では、ある程度出しながら、軟口蓋の喉頭引き上げ筋の開発を待ちたいところです。
2回通してから、ラモーの「優雅なインドの人々」のアリアを一回通して、休憩を持ちました。
この時点で、かなり喉が疲れていたようにも思います。
ハムレットはかなりな高音域のフレーズが何箇所かある上に、長丁場なので、疲れやすいです。
ざっと通しを何度か聞かせてもらって感じたことは、中低音とは逆に高音は、ある程度出す、というところで、彼女なりのコントロールの技術を覚えたのだろうと思います。
この場合、中低音とは逆に、フォルテやメゾフォルテ以上の声を張るフレーズほど、2割減くらいにすることを常にイメージして練習すると良いと思いました。
特に、ハムレットの最後の2ページは、盛り上がるところは、あまり強声にこだわらずに、綺麗に聞かせる方が、声も良く通るし音程が良いと思います。
その他、バラードの部分、ゆっくり歌うフレーズで、ブレスの厳しい箇所が散見されました。
ブレスのやり方を見ていると、お腹を緩めて自然に息を入れるのは良いのですが、丹田(最下腹部)も緩んでおり、それが響きを落とす原因になっている気もします。
上腹部を縦に良く伸ばすようにブレスを入れ、自然な体型の範囲で胸が開いた姿勢を意識されてください。
それだけで、中低音の響きは変わると思います。
それから、高音発声の際に頑張ってしまうせいなのか、目をつぶってしまうことがしばしば見られました。
これも逆効果なことが往々にしてありますので、我慢して目をつぶらないで歌うことも、良く練習されると良いでしょう。