KA
発声練習は20分くらいやっただろうか。
最初に軽く5度スケールを1オクターブくらい上り降りした。
呼気が弱く、小さくまとまっていたので、呼気の練習から。
前回の体験レッスンでも、同じ印象だったので、呼気をしっかり脳天に向けて送る練習から始めた。
呼気の練習をしてから、少しずつ発声に応用して行った。1音~2音、そしてスケール、アルペジョ、と言う具合にフレーズに応用した。
見ていると、胸で吸って吸い切ると胸をすとん、と落として息を吐く出し方になっていたので練習をした。
わき腹から腰にかけて、手を当て、そこが少し膨らむようにブレスをするように。
そして、その状態を保つようにして、息を吐いていく。
そうすると、息を吐くときに何処が動くか、どこに力が入るか、あるいは、そうやってブレスをすると何処に息が入るか?
それらの体の状態を常に自分で意識して見ることを大切にしてほしい。
その人によって感じ方が違うので、言葉に言い表すことで、その状態が客観的なものに少しでも近づけられるであろう。
再現性がないと、練習のしようがないからである。
それから、ブレスの際には軽くあくびをかみ殺したくらいの感じで、口を半開きくらいでやると良いだろう。
彼女の場合は鼻で吸うより良いと思う。
曲はLascia ch’io piangaから、これはかいつまんで書くと、口を開けすぎないで適度な声量で歌うこと、結果的に高音は綺麗な響きになってくる。
一方、バッハ=グノーのアヴェ・マリアを練習した。こちらは、ブレスポイントのみの練習であった。今はなるべくブレスを長くする練習をしてみてほしい。
NA
発声練習はせずに、フォーレのNoel、中声用から始めた。
この曲は、さらったことがないが、フォーレの中期らしい深みのある和音と響きで出来た、不思議なクリスマスソングである。
声は、以前にも増して中低音の芯がはっきりした声になってきたことを実感。
芯がはっきりして来たので、この音域の曲のレパートリーが飛躍的に増えた、と言って良いだろう。
発音の練習は十分にしておいてほしい。
次にプーランクの「ルイーズ・ラランヌの3つの詩」から「昨日」を練習。
大分以前に練習したものだが、これもフォーレと同様の感想を持った。
中低音の声がはっきりしてきたので、音楽が明快である。
表現がどうこういう以前の音楽の基本的なことが明快になるので、それだけでも得である。
プーランクらしいパリの風景が生々しく浮かび上がる音楽のエッセンスに満ちた曲想が、良く理解できるものである。
前半のレシタティーヴ風の部分は、声質のレガートに注意を。
次にヘンデルのジュリアス・シーザーから「海の嵐で難破した小舟は」を練習。
低音域の16部音符の連続した単打音は、難しい。息漏れがないように注意を。
最後にモーツアルトのコンサートアリアから、低音から超高音まで滑らかにバランスの良い声で歌えている。
強いて言えば超高音の声は、ブレスに注意して十分に響かせられるように、フレーズの呼気配分に要注意を。