FR

発声練習は、母音のAが特有の癖が出るため、ハミングの練習から母音に変換することをやってみました。
これは母音の響きの癖取りというよりも、良いピッチで通る母音の響きを作る練習方法です。
これも、基本的にはうまく行きますが、やはりAの母音は舌の力みが取れません。
舌根がかなり奥に入ってしまうようです。

それで、もっとも簡単な方法として、母音をEにして練習をしてみました。
これがとても即効性があって、良さそうでした。
声が奥まらないで、前に出て来ます。

結論から言えば、今の時点ではAの母音発声でも、このEを発声する喉の感覚を出すと良いと思います。
高音のチェンジから少し力みますが、自然に音程良く上がって行ければ大丈夫でしょう。

それから、とても基礎的なことですが、低音から高音へ、という上向フレーズの歌い方ですが、音程差を縦に感じないこと。
水平に前に進んで行くように感じることを教えました。
このためにも、低音のピッチ(音程感)をかなり高くすること、響きも高く集めること、を教えました。
しかし、この時点では高音発声の締まりは改善出来ませんでした。

コンコーネの24番から練習しました。
これも、最初はAで始めましたが、やはり喉の奥に引っ込んでしまいます。
それで、母音をEにしてみると、綺麗に前に出て来ます。

Eの方が声帯は閉じますが、Aにすると喉を締める、と言う違いです。
声帯は閉じても、喉は空いているのがEの特徴、と理解して下さい。
声帯が閉じると、喉が少し上がるので声が出しづらいように感じますが、実はAの方が喉に力を入れていることになります。
このAの時の発声の力みを良く理解出来ると、発声全体の改善につながるでしょう。

曲はサン・サーンスのサムソンとデリラのアリア、Mon coeur s’ouvre a ta voixを練習しました。

最初、通して見ると前述の通り、母音Aによる喉の締まった響きが出ています。
それで、徹底して喉を開けるように練習しました。
イメージ的には、喉の奥が拡がった感じで声を出します。
結果的に声を頭から出さないで、喉の奥深くから出すイメージです。
これが、結果的に功を奏したのは、高音のチェンジ以降でした。

それまでは、どうしても閉めて出していた高音は、ふわーっと自然に出る響きが出せていました。

最後にミュージカルでLittle mermaid のPart of your world
自然さを最大限出すべきだと思いました。
英語の発音と歌のキャラクターが、聴き覚えの雰囲気をそのまま出している感じがしましたが、よどみのない発音や言い回しよりも、
FRさんが、もしこの曲の日本語訳を歌うとどう歌うか?日本語で歌う感情的なものの方が大事だと思いました。

このような基本的に劇中歌として成り立っている歌を歌う場合は、お芝居抜きでメロディの美しさを良い声で歌うか、お芝居としての語りを大切に歌うか?
で分かれますが、ミュージカルの中ではなく、単体で歌う場合は、メロディと声重視の方が良い結果に繋がると思います。

決してクラシックの声楽的な声で歌う必要はありませんが、例えば、フレーズの切り方など、録音で軽やかな語りを全面に出す歌い方と、
ライブでマイクを使わないで歌う場合は、音楽の作り方を根本的に変えないと、とてもライブで通用しないです。
また、語りを入れるとしても、落ち着いてキーを高くはっきり語らないと、何を言ってるか?も聞きとれない結果になるでしょう。

声量は要らないと思いますが、ライブ空間に声が反射して、お客さんの耳に届いて音楽が理解される、という時間差を考えた、
テンポ設定、語り方、声のトーンなど、良くイメージしておくと良いと思います。