TF

昨年末に教えた、おでこを壁につけて練習した成果が出たのか、成果の感じられたレッスンになった。
特に2点Fから上の声が良くなった。無駄な息漏れが少なくなったため、声帯の合った響きになりつつある。
発声練習では、今回は、低音~中低音の練習となった。
これもやはり息漏れのない発声。
ハミングでなるべく響きを集めるように出すこと、それが出来てから母音に変換した。
問題点は、例えばドレミと上がるフレーズで、必ず上に行くほど口を丸くして響きを中に入れること、あるいは深くすること。
彼女に限って言えば、この口の開き方がネックである。形が形骸化していて、逆効果になっている。
特に母音Aの場合は、基本的にEで調音しておいて、なるべくEの響きにAを同化させる意識で母音を作ると良い。
また、上述の高音に昇るほど口を丸くして響きを中に入れる癖を極力排すこと、そのことで当たった高音の響きを出すように意識してもらいたい。
また、声のチェンジは、この発声練習をする限りにおいては、意識する必要はない。自然になるに任せておけば良い。
曲はバッハのカンタータWie freudig ist mein Herzを練習。
歌の場合は、上述の発声をそのまま使わなくて良い。むしろ弊害が出る。特に2点C~Eくらいを行き来するフレーズであれば、口を開けない発声の方が、良いだろう。

FA

発声はハミングを中心に、2点C~Fの声区の変換領域の練習となった。
ハミングで練習をした。
声の響き自体は元気が良いのだが、2点C以上でやや喉を絞めてしまうので、口を開くことで気道を開くように。
例えばドミソだったら、一番高音のソに入る直前に、口を開けて喉が下がり、軟口蓋を上げ、というバランスを取るように練習するわけである。
そのことを覚えておいて、母音発声に応用した。
高音に上る際に、彼女の場合はなるべく高音のファルセットにならないように、かつ喉を閉めないように、というところが課題だろうか。
曲はドビュッシー Le jets d’eau Recueillementの2曲。Recueillementは弾き語りをやった。
「噴水」は、音域が中音~中高音だが、一つのフレーズでなるべく声質(声区)を変えないようにすること。
ファルセットを使うのはよほど高音でPPの表現をする時、と決めておいた方が良いだろう。
「静思」は、彼女の発声にはちょうど良い部分があって、安定した歌いっぷりであった。
弾き語りの場合は、声で表現しようとしないで、ピアノの音楽をソロ伴奏より軽くする方向を模索してみると良いと思う。

NS

彼女もハミングの練習が主になった。
最後に母音に変換して2点Aまで、声質の変わらない響きの大きい良い声だった。
口を開けたハミングが上手く出来ているのだが、実際の歌になると、その発声が少し変わってしまう。
例えば、フォーレのAu cimetiereでもLe parfum imperissable(いずれも中声用)いずれもだが、良い声なのだが
声を集め過ぎるきらいがあるように思われた。
難しいのだが、これらの曲は言葉の形と音楽の形とのバランスが大切で、ただ単に旋律線を歌うだけでは、表現として中途半端な感じになってしまう。
例えば、よほど声量があって、美声である、という恵まれた声であれば、別かもしれないが、一般的にはもっと母音の形や子音の出方などによって
音楽を整形する表現を大切にすべき、と思うのだ。

例えば、母音の響きだが、声を高く集めるよりも、気道を良く開いて、胸側の共鳴も含めた方が落ち着いた良い響きと感じられるだろう。
ただ単に頭部きを集めるよりも、胸の共鳴版に軽く響かせるくらいの方が、このような曲は良いと思った。
ハミングから軽く胸に響かせるようにして、母音を作ってみると良いだろう。