KY
ハミングで発声練習を始めた。
彼女の場合は、下顎を下ろす力で、喉を下げ過ぎて、そのために高音が出にくくなっている。
それから、腹筋を使ってブレスから声を出すに至る身体の使い方を再度確認した。
高音の練習として、母音によるスタッカートで3点Eまで、練習した。
発声上では、顔面の特に頬を上げる部分の開発が足りない。
歌い出すと最初は良いのだが、徐々に下あごに力が入り、真下に下顎を降ろした状態で歌っている姿になる。
良い意味でもっと微笑んだ顔の状態で歌うことを大切にしてみよう。
スタッカートでは、この頬を上げることが大切である。
イタリア古典歌曲集中声用のLe violetteから練習した。高音発声の特にスタッカートが功を奏して、高音が滑らかになった。
次のPiacer d’amorも、喉でひっかかる高音への換声点の2点F近辺の発声も、ひっかかりがなくなった。
低音から高音にかけて、滑らかにつながっている。
モーツアルトのスザンナは、やはり最後のページの高音が課題である。
2点Fの声は、下顎を使わないで、母音のEの口を注意。下顎ではなく、頬を良く上げた横開きの口が有効である。
下顎を下げ過ぎると、声帯が合い難くなり、結果的に発声しづらい状態になるからである。
同じくモーツアルトRidente la calma
以前より、楽に歌えるようになった。特に時折出てくる2点Fの発声は、苦手なポイントだがこの辺がクリア出来てきている。
最高音はまだ細いが、ブレスの方法が課題であろう。喉の使い方そのものは改善されてきている。
最後にフォーレのPie Jesu
彼女が選んだが正解だと思う。苦手な音域、2点F近辺が続く、意外と苦しい曲である。
成長の跡が伺える結果であった。
TF
今回は高音の練習が多かった。発声練習は30分以上、練習をした。
最初はハミングで練習。中低音の声とピッチはだいぶ良くなったのだが、まだ2点F以上の音域の発声に難点がある。
見ていると、ブレスの仕方とブレスから声出しに至る回路に、どうも判らないところが見て取れた。
基本的にはハミングで出ない声は、母音でも出ないはずなので、高音以上の声区でハミングで出しづらいのであれば、
どうすれば、ハミングでも出せるか?を練習するのが基本であろう。
ブレスも、斜腹筋を良く伸ばすようにブレスすること、下顎を下ろさないで引くように使うこと、エの母音が一番声帯が合いやすいこと。
など、条件にすれれば、なんとか2点Aまで行けるが、そこから上が音程がはまらない。
直ぐに発声出来て、その声の音程がはまっていることだけ、を条件にすると、スタッカートによる練習が良いと思った。
3点Dくらいまで、練習しただろうか。頬を良く上げて上あごから上の特に軟口蓋で響かせること。ブレスが上述通りに出来ていないと、
高く響かせられないと思う。逆に言えばブレスの際に、軟口蓋のある場所に共鳴腔をあたかも作って、そこの空気を振動させるようなイメージになるはずである。
多分、現状は、声帯を分厚く使ってしまう癖が根強くの残っているのだろう。だから、声を出すのに探ってしまい、時間がかかるのだと思う。
ここで、戻るが、結局ハミングで音程が出せたのであれば、それは声帯を伸ばして薄く出せている、ということになる。
本当はそれが出来ないと、高音の良い発声が難しいであろう。
曲はバッハのカンタータ199番のアリアから。ここではピッチの問題が、特に2点Esを伸ばすロングトーンに出てきたので、集中練習した。
いつも指示することと同じことだが、母音がAなどの系統になると、喉を下げ過ぎるので、なるべくE系統の口の使い方から母音発声を導くこと、声帯の綺麗に合った、音程の良い響きになるだろう。
もう一曲はヘンデルのPiangero la sorte miaをアリアだけ練習。
中低音の声、ピッチはだいぶ良くなった。中間部の早いパッサージュは、遅くなってしまう。
まだ発声面で、重くなるせいがあるのだろう。
リズムを大切に、素早く歌い進むことを優先して練習することで、重くなる喉の使い方を改善するきっかけとしてほしい。
FA
ハミングで主に練習。ハミングの声質、歌う様子を見れば大体どういう状態か直ぐに判る。
口の開け方の工夫で、うまく声がチェンジして行くのが大切だ。
喉で押さないことだが、高音の声区に入っても、ファルセットに意識しして変えないこと。
声質が変わっても、喉がぶらぶらにならない、支えのある声質を大切に。
母音で練習したら、かなり良く出来ていた。
曲はプーランクの歌曲を練習。
エリュアールのTu vois le feu du soirから。
中低音が多いのと、音程の上下が激しく、喉が動いてしまう声質が気になった。
全体に、声を前に意識し過ぎではないだろうか?
もっと中の一定の場所で響かせる、歌う、という感覚に徹すると、声質が一定になると思う。
これは、次のアラゴンの詩による「C」も同じだが、こちらは逆にPPのフレーズは意識してファルセットにしてしまうことと、
中高音のMFの声であれば、ポジションを低くすれば対処可能な声の表現であった。
C’est ainsi que tu esは、一番安定した歌唱であった。低音続きで喉が上がらないからである。
最後にアポリネールのLe pontを。こちらも喉の高低の問題だが、声を中に入れて前に出さないような指示にすると、安定した。
恐らく、声を前に意識しすぎなのであろう。
顔の中で、共鳴させるだけで、それ以上一所懸命歌わないくらいで、発声としてはちょうど良い、と思うと良いのではないだろうか?
これは「C」でも大切な発声の意識になると思う。
後は、フレーズによるダイナミックの変化をはっきりさせと、表現的に立体的になる。
全体的に声を身体の中、顔の中で反射させれば、自然に響いて聞こえる、くらいの意識でやってみると、良くなるかもしれない。