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ハミングで始めると、胸声傾向が強く、音程が♭気味なので、ピッチを高く指示した。
そうすると、今度は響きの芯が少ない傾向になる。
当然なのだが、その中間が得られると、声の響きに芯がついた上で音程も良い響きの中低音になる、と思う。
ツェルリーナのアリアBatti batti o bel Masettoは、当初に比べるとだいぶ落ち着いた声に感じられた。
根本的とは言えないが、声の揺れも気にならない。
純粋に発声法をどう・・という捉え方は勿論出来るが、今は、それよりも、役柄の特徴や表現を積極的に出すと、魅力が倍加しそうである。
コケットな役柄であり、彼女にはぴったりではないだろうか?
ドニゼッティ、Mezzanotteは、どうも何を表現している歌なのか?が良く分からなかったので、歌詞の意味を確認してみた。
すると、とてもコケットな女性の唄であることがわかり、音楽の作られ方の意味が良く解った。
後は、その音楽的な特徴を、良く出すことを、コケットな経験を基に歌ってみればよいだろう。
最後にヴェルディのストルネッロを歌った。
これも、歌詞を読んで見て、恋愛における女性の気位の高さ、怒り、のような部分を、良く出してみる。
それは、自分で演技しなくても、音楽に書いてくれている。
これが、功を奏して、なかなか厚みのある表現力のある歌になった。
これらのことを総合してみると、声を抑制する表現というのは、今の段階ではあまり必要ないであろう。
ピアノにやってもらえば良い程度に考えた方が、発声としても良いと思えた。
発声の課題を解決しつつ、発声を忘れて歌詞を夢中で表現する、というパフォーマンスとしての歌の重要性を今のうちに身に付けてみてはどうだろう?
そのためには、朗読をたくさん経験してみること、も良いだろう。
最初は何が何だか分からなくても、淀みなくスラスラとイタリア語で朗読出来るだけで、歌になった時に違いで明快に出ることが、判るはずである。