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体験レッスン。
音大卒業後、海外留学でプロとしてこれから道を切り開こうとしている。
イタリアの発声を身につけてきたが、フランスのレパートリーを勉強したいとのことで来られた。
身体は華奢な方だがさすがに声量は十分ある。高音も声域は広い。

グノーのロメオとジュリエットJe veux vivreとファウストからテュレの王と宝石の唄をざっと通してみた。
いずれもだが、Eのあいまい母音発音がほとんどEに聞こえる点。
単語の語尾にこのEのあいまいが来る場合と、CeとかLeなど、指示代名詞、定冠詞などの場合とはちょっと変わってくる。
どうしてか、というと、文章の抑揚と関連してくるからである。
この違いとともに、綺麗にあいまいを処理できると、俄然フランス語の美しさは出てくるだろう。

それから、EuやOeなどの二重母音が単母音化した、これもあいまい系の母音の響き。
あまり前に出過ぎずに、深みのある響き。

テュレの王の部分は、レシタティーヴォ風の箇所が難しい。早口だと、まず読み自体をかなり練習しなくてはいけないだろう。
慣れが必要である。

今日は、外面的なことの説明と実践で終わったが、これから実際に読みを練習してもらって、発音を徹底して勉強して行くことになった。
教えていると、即座に真似が出来るので耳はとても良いものを持っているのだろう。特に語尾の狭いEの出し方が直ぐに真似出来たのには感心した。
今後がとても楽しみである。