HN

下降形で発声を始めましたが、喉が安定しないので、低音からやり直しました。
2点Cくらいからは、声の出だしがまだ安定しないようで、もっとお腹から声が出だす意識を持つことを大切にしましょう。
声の出だす場所です。
みぞおち辺りが横隔膜と思ってください。
声はいつもその上にあって、そこから出だすイメージです。

最初から完全な良い声にならなくても、まずは喉の上がった声にならない状態をつかんでください。

曲はイタリア古典歌曲集のPer la gloria d’adorarviからでした。
前回と同じような展開で、喉が安定しない声になりました。
恐らく声を強く出そうとして喉が安定しないのでしょう。

声を強く出そうとしないで、喉を安定するように、一定の声を続けて出す意識を大事にしましょう。
特に音程が上がる場合が要注意なのです。

今日のレッスンでは一緒に歌いながら、姿勢や口の開け方などの注意に及びました。
やはり、顎を出さないことです。
ブレス時と、声を出す瞬間に顎を出さないことで、声帯の張りがしっかり安定します。
しっかり安定させておいて、発音と同時に軟口蓋側を挙げるようにして、音程、あるいは声のはじき具合を決める、というイメージです。

後は、Caro laccioを同じように練習しました。
音域がそれほど高くないので、それほどの難しさはなかったです。
やはり声の出し始めで、お腹の上からで始めることがポイントになりました。

最後に難しいTu lo saiを練習しました。
この曲の高音域は声を押すとすぐに胸声になってしまいます。
慣れれば胸声に近い感じでも、綺麗に合った声が出ますが、今は少し抜けても軽い頭声のイメージで対応してください。
下顎に力を入れないで出す感じです。

この曲は、かなり前から何度も取り上げてきましたが、ようやく頭声の感覚がつかめてきました。
そのため、難があったピッチの問題が解決し、全体をどうにか歌いとおせるようになりました。
まだまだ力みが出ますので、そのあたりを解決出来れば、完成になると思います。
これからも、事あるごとに取り上げて行きましょう。

AY

4年ぶりでしょうか。遠いところを再び訪ねてくださいました。
ありがたいことです。

久しぶりに聞いた彼女の声でしたが、傾向はあまり変わっていませんでした。
下顎を良く使う発声ですが、上を使わない傾向であることと、声を前に出さないために、特に中低音域で声が気息的になります。
また、共鳴ポイントが低くなるので、響きもこもった暗い中低音の響きになります。

低音は、共鳴よりも声帯の合った明るく前に通る声を目指してください。
特に高音を大切にするソプラノであれば、その方が高音にも良い影響をもたらすと思います。

なぜか、というと、歌はフレーズですから、低音~高音にまたがるフレーズの場合、低音側で共鳴を持たせる発声をしますと、
喉や下顎が力んで、高音が出しづらい状態になるからです。

色々な発声方法を試してみました。
基本的には、中低音域では口をあまり開けないこと、声を前歯に当てるように意識することでしょう。
そのための練習方法としては、IやEなどの声帯の合い易い母音を利用して練習しました。

また、Iの場合は鼻腔も響きを入れ易いと思います。
鼻の穴も開けるように、また頬を挙げるようにして、鼻腔の共鳴も利用するようにしてください。

いずれにしても、下顎をなるべく使わないことが、逆に上の発声器官を開発する理由になることを忘れないでください。

究極の練習法として、鉛筆やボールペンなどくらいの太さのものを口でくわえて発声する方法も良い練習になるでしょう。

曲はフォーレのレクイエム、Pie jesuから。
基本的に曲の勘所を掴んで良い歌を歌えていると思いました。
テンポ感も、表現のつぼも、この曲の美点を良く感じて歌われていますね。

言うべきことは、やはり中低音域の発声でした。
発声方法は上述の手法に依りました。

後はラターのレクイエム曲から、Pie Jesuをやりました。
とても美しい曲で、19世紀な謹厳さよりも、現代風に優しく明るいレクイエムのアリアでした。
ここでも高音域よりも、中低音の声の響きを、今日の発声法を基に修正しました。

指示するとたちどころに治りますが、放っておくと、基の癖に戻ります。
歌う意識がそうさせるのだ、と思います。
歌う意識は良いですが、歌う気持ち半分、声の冷静な対処半分くらいに考えると、全体に器楽的な声の扱いが出てきて
バランスが良いと思います。

心だけではなく腹と頭を、と言ったのはラヴェルですが、同様のことを考えて、演奏に臨むことも勉強になると思います。