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発声練習は低音から下降形で始めて、上向形で2点Aくらいまでにして終わりました。
特にトピックは作らずに、声を温める程度にして、歌に入りました。

曲は、最近コンサートで歌ったものを復習してもらいました。
18世紀のシャンソン、Venez agreable printempsから。
中低音の声がとても良く、また歌い廻しにスタイルが感じられました。
ただ楽譜を歌っているのではなく、歌詞の発音と音符の関係を、はっきりと明快に歌おうとしているところに
旋律のスタイル感が出ていました。
この辺り、長年やってきただけのことはあるな、と喜びでした。

次がプーランクのLes chemins de l’amour
これもとても良かったです。
中低音の声が、前に良く集まっていて発音がクリア。

惜しいのは、転調してからの2点Fくらいの声でしょうか。
惜しいと言うのも憚られるくらい良く歌えていましたが、やや中途半端にファルセットになったような声です。
彼女の課題で、声帯が開き過ぎてしまうようで、喉が少し突っ張った印象になります。

この辺り、次のモーツアルトのスザンナのアリアで、発声を細かく見ました。

これも全体に5線の中、ト音記号の中の音域はとても良い声で、声質が密でクリアで良いのです。
やはり高音の2点Aの声です。

口は、はっきりと縦に開けるのが良さそうですが、フレーズを歌う中で早めに開ける準備をしておくことです。
その音になってから開けても意味がありません。

それから開け方ですが、喉を開けようとするのではなく、例えば物を吐こうとするような意識で口を開けるか、
あるいは舌先に力を入れることで、舌根が中に入り込まないようにすることでしょう。

それから、改めてブレスとブレスからのお腹の使い方をチェックしました。
お腹の下腹は、少し締めて置くようにすることと、ブレスを自然に吸うこと。
当り前のことですが、息をきちんと入れないと、声の響きが出て来ません。
胸も開くように、ブレスをきちんと入れましょう。

下腹部を締めておいて、ブレスが入れば、必然的に横隔膜の辺り、肋骨の最下端辺りが膨らむと思います。
そして、歌う際には、この膨らみを維持しようとしてください。
そのためにこそ、下腹部を締めている意味があります。

この下腹部の締めも、具体的にいえば骨盤に沿って斜めに背中に向けて走る斜腹筋を締めあげるようなイメージです。

難しいようでしたら、単に下腹部がデレ~ンと垂れさがらないようにしておいて、ブレスしてください。

というようなことをチェックしておいて、Nel cor piu non mi sentoを歌いました。
これはほとんど云うことなしで、綺麗に歌えました。声質も明るいです。

そして最後にLascia ch’io piangaを軽く譜読みして終わりました。
今日のブレスの身体使いと、高音発声の口の使い方、喉の開け方を課題にして行きましょう。