OM

発声練習は3点Cまで往復した。
発声の声も、徐々に中低音域から安定して高音まで伸びています。
理屈よりも、習慣的な慣れが大切だと実感しました。

直ぐに歌の練習に。
今日は、取り急ぎのシューベルトのAve MariaとヘンデルのOmbra mai fuを譜読み。

シューベルトは、あまりに有名なメロディであり、頭に何となくメロディが入って締まっているため、楽譜と微妙に違うことを歌ってしまいます。
これに注意を。
例えばフレーズ終わりの8分音符であるべきが、16分音符になっていたり、という具合。
もう一度楽譜をよく読んで、正確に譜読みをしてください。
また、ドイツ語の発音も正確に。
後は、出来るだけ声の響きを集めることと、伸ばす音符は少しクレッシェンドをかけられると良いですね。

オランピアのシャンソンは、2回通しましたが、1回目が一番良かったです。
中低音の声の発声を基本にして、全体を歌ってください。
そうすれば、喉の締まりが軽減されると思います。
高音だけをイメージしてしまうと、一見出やすいですが、実は喉が締まって、直ぐに歌えなくなる喉になりますから。

中低音の声はようやく聞こえる声になってきたと思います。
まずはここを定着させてください。

その上で、高音、特に2点A以上の声は力まないでそのまま楽に出す感じ、もっとリラックス出来ると思います。
舌先に力を入れないこと、上半身、特に肩を力ませないように。
それから明るい気持ちになって、楽しく声を出す気持ちを明快に意識して下さい。
そうすると、もっと目が開いて発声器官も目覚めてくると思います。

SM

デュパルクのSerenade Florentine、懸案のテンポ感もようやく板について来ました。
ピアノ伴奏をあまり気にせずに、自分のテンポ感を持って歌うことです。
テンポ感がついたら、レガートに歌いましょう。

この場合は、8分音符+四分音符のパターンがメインの形になりますが、四分音符が強拍になるので、
無意識に歌うと逆に8分音符を跳ねて歌ってしまうことになります。
そこで、むしろ8分音符を響かせるように歌うことで、フレーズ全体が滑らかに聞こえるようになります。
これは、フレーズの歌い方、あるいは音符の扱い方の問題です。

次のSoupirも同じです。今日の発見は、声の揺れを抑えることです。
元々中音域の声の揺れが大きいのですが、この曲では目立つため、喉に手を置いて歌ってもらいました。
私の憶測では、舌根が動いているのではないか?と思いました。

すると、手を置いただけで、揺れがピタッというほどに止まりました。
それ以上、原因は探しませんでしたが、これだけで止まるのは、単なる癖であり、根本的な理由ではないでしょう。
恐らくビブラートを付ける癖があったのではないでしょうか?
ビブラートと云うのは、自分で意識して付けるのではなく、発声の結果としてつくものと思ってください。
揺れが収まったことで、結果的にですが、フレーズのレガートも綺麗になりました。

次にモーツアルトのS’altro che lacrimeは、やはり出だしの声が聞こえないこと。
口を開けないで、むしろ喉を締め気味にして、中低音の響きを作る意識を持つことです。
高音はとても良くなりました。

日本歌曲は平井康三郎の「ふるさとの」
前回と同じく、ふるさとの、と歌う長いフレーズを声の力ではなく、ふるさと、という言葉をひたすらイメージして集中して歌ってください。
子音の出し方も大切、とは思いますが、先ずは言葉のイメージを頭で集中して言っている力が、言葉を伝える力になりますので。

最後にモーツアルトの手紙の二重唱と、伯爵夫人のアリアを練習しました。
歌詞が良く判る歌、を目指したいです。
歌詞が良く判る歌は、メロディを歌い過ぎないこと、歌詞のフレーズで、意味が判るためのポイントをある程度
強調した歌い方、になります。
そのために、歌うよりも歌詞を人に聞かせて判ってもらうように朗読して見てください。
そして、その調子を歌に反映させてください。

NM

発声練習は少し苦労しましたが、いつもと同じことで、最低音域の声区は、そのままの声では使えないと思います。
ただその上の声区の声でも、よほど意識しないと、ファルセットになってしまいますので、鼻腔共鳴を特に
練習されると良いと思いました。

即効性のある方法は、母音をUにして、例えば子音をNを使ってNuという具合です。
中低音域の声が一番スカスカする領域で、鼻腔を意識してこの子音N+Uによる発声を練習し、
その声の出方を覚えておいて、N+Aに変えていくわけです。

Aに換えると、声がスカスカする場合、たいていは口を横に開くことが良くないです。
それから、舌先にも注意を。舌先が奥に引っ込んでいないかどうか?

この練習は簡単である一方で、Aに変換することが難しいです。
かなり微妙な作業なので、根気よく続けてください。

発声練習は苦労しましたが、歌は俄然!良くなっていました。

團伊久磨の「紫陽花」は、良く歌い込んでいました。
ピアノ伴奏はまともに弾けてない、にも関わらずしっかりと音が取れていたのが良い証拠でしょう。
声も良く出ています。
中音域は、発声練習の成果か、予想外に合わさった響きだし、高音もしっかり出ています。

フォーレのリディアとマンドリンも、これも以前より数段、良い歌が歌えるようになりました。
恐らく、良く練習されたのだと思います。
歌に自信があって、歌心がしっかりある歌、になっています。
発声の課題もあるにはありますが、それをはるかに凌駕する精神性が歌から感じられるから、結局芯のある歌になっていて、
課題を乗り越えられていると思いました。

これはとても大事なことだと思います。
しかし、発声は音楽性を伸ばす大切な楽器としての要素ですから、これはこれで課題を乗り越えるべく研究と練習を地道に続けてください。

MM

今日はモーツアルトのVedrai carinoから始めました。
声が温まらないと、2点CからEくらいまでの声区の変わり目が、当り難い喉でした。
恐らくですが、基本的なポジションの取り方が高くなっていたのでしょう。

低くすると音程が取りづらかったり、こもったりするのを本当的に嫌ってのこと、と類推しますがどうでしょう?
ポジションを低く取るのが判ると、実は声帯の声門閉鎖も上手く出来るため、かえって明るい倍音の良く出る
声が出せることが判るはずなのです。

もしこもった声になるとしたら、それはブレスではなく、舌根で喉を下げて、見掛け上のポジションの低さを偽装した
発声になるからなのです。
ポジションを低く取る発声の場合、喉も舌先も舌根も、なるべく力まない自然に脱力した状態を基本にしてください。
その上で息を尾てい骨から低く取る気持ちで、声も腰から出だすくらいに意識すると、綺麗に当る声が見つかると思います。

どうも深い息を意識するだけで、余計な息の使い方をしなくなるから、ではないでしょうか?
息が高いと、直ぐに息が出てしまうために、声帯が開きやすいのではないかと思います。

逆に言えば、やはり息は入れ過ぎないこと、が秘訣のようにも思います・・・

曲は前回と同じく、Non so piu cosa sonを次に。
2曲目で声も温まっていたので、ポジションも落ち着き、声の調子は良くなりました。

グノーのL’absentは、ニュアンスを出さない歌い方で、徹底したレガートを練習しました。
上手く歌えるのですが、どうも歌詞発音のせいで、フレーズが凸凹するのが気になりました。
この曲の、特に出だしの音楽は、歌詞で持って行くのではなく、音符だけを淡々と歌うのが良いみたいです。
例えばDites moiと歌いだすフレーズは、歌詞で情熱的に歌うと良いでしょう。
全体に、虚脱した感情の白い雰囲気のフレーズと、血が通ったフレーズの2つに分けてみると、歌が立体的になって良いです。