TSS

今日はこちらに来てから、初めての成果が見えたレッスンになった。
中低音の声の響きが集まって来て、下の声区から滑らかに中音域に繋がりだしてきた。
また、頭声区とのつながりも良く、発声練習をおよそ2オクターブやったが、上り下りとも問題なかった。

最初にドナウディのAmorosi miei giorniから始めたが、おや、と思うほど中音域の声の響きに厚みが加わって、良く通る声になっていた。
ヘンデルのPiangero la sorte miaも同じ。
中低音は声出しの準備で、あくびの状態を作ることは有効な方法になる。

最後にLa Rondineからドレッタの夢。
これも冒頭からの中低音の声が通るようになってきた。
高音の発声は、やや喉の負担が感じられる響きだが、良く響いて音程感も良い。

今は理想を追わず、出来る範囲にしておいて、本番後からフォームのことを細かく練習したい。

GH

発声の声は、大変良い声になってきた。
安定しており、声量も充分。

この発声の声を基準にして、常に同じ声質、声のキャラクターになるように発声のフォームを決められると良い。

それを感じたのが、最初の「初恋」
何かテンポとかイメージのせいなのか、妙に声が軽くなってしまい、そのためにむしろ音程が不安定になるケースがある。
楽譜指示のテンポは72だが、ここではバリトンの妙齢の歌手が歌うことを考え、思い切り遅く重くして60にした。
これが、功を奏して落ち着いた歌になった。
オリジナルの表現は「若さ」ゆえの悩み、だろうが、今回は回顧的な要素を前に出した方が、歌としてパフォーマンスとしてもしっくりくると思った。

「城ケ島の雨」は、長2度の違いで低声用とオリジナルキーの2種類を歌い分けてもらった。
結果的にはオリジナルの低いキーが良いことになった。
この曲はオリジナルキーで歌えばGHさんの良さが、自然に描出される音楽表現だと思う。

「落葉松」は、音楽作りに工夫が必要と感じた。
結論から言えば、冒頭のテンポを軽やかにして、ピアノ間奏の後から、しっかりする。
PPなどの弱声表現に重きを置く、ということにになった。
ちょっとしたテンポの変化で、驚くほど表現が変わることを、つくづく実感した瞬間だった。

SNM

発声練習から、低音の声区と上の声区が分離するような感じがあったが、脱力を促しているのであろうか。
結果的に、問題はまったくなかったので良かった。

カディスの娘たちから。
良い声で良く歌えるようになってきた。
最後の最高音は、喉が温まっていれば必要充分な表現には至ると思われた。
あとは、暗譜と、暗譜することによって、楽譜に書かれたテンポの緩急や、声の強弱による演劇的表現が高まることを期待したい。

「からたち」は、どうもテンポ感がせかせかするようである。
ブレスを一息で、という思い込みのせいだろうか。
無理に一息で歌わずに、カンニングを入れて、落ち着いて対処することを薦めた。
その方が結局、喉のフォームを壊さないことにつながると思う。
無理にブレスを伸ばそうとすると、その直後のブレスがうまく行かない。

「宝石の唄」前回と少し似ているが、全体に喉がやや締まり気味に感じられた。
結果的には、最高音は良い響きだったが、そこに至るまでの全体感が、押し気味というか、締まり気味。
声のイメージなのか?単に声量を出し過ぎているか?
途中で直したが、やはり喉の上がりを抑制して、気道の開いた声を目指した方が良いと感じた。
その方が声質がビロードのように滑らかになるから。