AS
伴奏合わせだった。
発声練習から、声の調子がとても良かった。
特に高音の切り換え辺りの発声に伸展がみられた。
曲の方、ポイントだけ書くと、まず1曲目のモーツアルト「別れの歌」。
低音から高音への跳躍の声の扱いに滑らかさが出て、全体にまろやかな感情表現になった点が、進歩。
喉の扱いのフォームが出来て来た。高音の声がすっぽ抜けない、良いフォームになってきたと感じられた。
デュパルクは、最初の合わせがうまくなかった。
ピアノ伴奏に感情の起伏がなく、歌も一緒になってこざっぱりした歌で、この曲の音楽が持つ情熱や美しさが表面に出ない演奏になっていた。
ワーグナーの壮大なオペラアリアと同じように・・ということで、伴奏の壮大さ、歌の表現の力感を出せた。
サティは2曲とも振りをつけてみた。
というのも、「ブロンズの銅像」は、明らかに音楽がカフェ・コンセール(寄席)のスタイルだから。
当時の流行のJazzの裏拍のリズムを大切に。
音楽きっかけで、振り向く。帽子を被るタイミング。脱ぐタイミングなど、音楽に合わせた。
ダンスの振りも良いだろう。
「帽子屋」は、グノーをおちょくっている面もあるので、伴奏のスタイルに意識が必要だ。
いかにも爽やかな風な音楽が、面白おかしく描かれている。
TNA
伴奏合わせ。Lascia ch’io pianga今回も一発で決まりだった。
ほとんど教えた通りに出来、歌えていた。
歌う身体の姿勢に不要な力みがなく、重心が落ち着いている。
かといって、喉で余計な大声を出さない、音楽的にまとまった発声が出来ている。
他者比較というのではなく、彼女自身の満点だと思う。
ベッリーニの Vaga luna これも、良く歌えているが、出だしが弱過ぎた。
Vaと発音する際に、下顎を降ろすことで声が出る、という意識で歌いだすと良い。
下顎や上唇の上下の動きが、声帯を伸ばすことで響きが倍加する、とイメージして見ると良いだろう。
全体に声を張るとすれば、Ed a lei che m’innamora contai palpitie i sospir から。
2番も同じである。
O mio babbino caro
懸案の高音は、それでも失敗しないで通過出来、徐々に調子を上げて、最後はこれも彼女としては満点つけられるまでになった。
発声的な理屈よりも、音符の扱い方を大切にした。
中低音の8分音符はテヌート気味に、少し強調して歌うくらいがちょうど良く聞こえる。
舞台歌唱法、とでも思ってもらえれば良いだろう。
最後の最高音は、余裕があれば充分に伸ばせれば理想。
とにかく、怖がらないで思い切りスケールの大きな音楽を表現してほしい。
TSS
ヘンデルのPiangero la sorte mia
より積極的に中低音の声を出すことと、高音の換声点付近の安定度を求めた。
換声点付近は、声が変わってフラフラとなる傾向がある。
喉を押さないのかもしれないが、声帯が伸びていない感じである。
この声帯の扱い方について関係のあるのが、顔の姿勢の取り方。
喉のポジションを決める姿勢として、ブレス時に顎を出さないことが大事。
彼女の場合、ブレス時にあくびのフォームを作って喉を開けようとしているのかもしれない。
しかし、これが声帯を開いてしまう理由になっていると思った。
声帯を開いてしまうと、あとは息を良く使って共鳴効果的な出し方しかないために、ブレスが苦しくなるし、響きも、特に換声点前で不安定になる。
彼女の場合、2点Eが換声点だと思うが、その半音前の2点Esが明快に不安定になる。
この点を注意。
中低音は力まなければ、ミックスした響きで歌えているので、良いと思う。
徐々に慣れるだろう。
「ドレッタの夢」は、主に高音発声を練習。
やはり2点Asの声の出だしが、喉っぽい。
基本的に声の出し過ぎと、口の開け具合で決まる。
Dolcissimoで行きたいので、口を開け過ぎないで、奥で良く響かせる。
その後に出て来る、曲頂点の3点Cも、前に開け過ぎで響きが悪いので、奥に入れるように、口をなるべく縦に。
音程は上唇をめくれ上げるように。
横開きだと簡単に音程が出るが、これが、このようなケースで声質を悪くする原因。
曲最後の2点bも同じことである。