HA
Il bacioは、伴奏の音楽作りに時間をかけました。
伴奏は単純な3拍子ですが、歌声をより良く活かすために、書いていなくても微妙にRitを付けたり、
あるいは少しテンポを増すように早くしたり、という満ち引きがほしいのです。
In tempoだけで通しても歌い難いし、活き活きとした音楽が表現出来ません。
声の良さを引き出すテンポの緩急や間合いを感じて下さい。
声はこの曲では、もう少し喉の開いた縦に開いた口の声、聞こえたいところです。
ブレスも間に合わないと浅くなり、そのために高音の声も少し可愛くなってしまいます。
これも中長期的な課題ですね。
本当の意味で、身体を使った声を目指してほしいところです。特に高音です。
オランピアのシャンソンは、声のスケールは小さくても、そんな可愛い声が合っているようには感じられます。
これは、イタリア的な声質志向よりも、機械的で可愛い声が、むしろこの役柄のキャラクターになるからです。
本人も何やら楽しそうに見えています。
しかし、実際にホールで歌うと、なかなかホールを声のエネルギーで満たすのは大変だと判ると思います。
ホールで歌うイメージを、今から充分持って練習しておいてください。
KR,TS
音楽的、発声的には、フィガロは中低音で、響きを高く声を集めて、と指示しましたが、
にわかには難しいようで、今度は声量が落ちてしまいます。
声量はある程度は大切なので、ピッチが低くならないようにだけ気を付けてください。
声は、ちょっとした練習で改善されると思いますが、時間が少しかかりますので、今は胸声と頭声と、配分を意識した、しっかりした、しかし明るいピッチの良い声をイメージするだけで良いでしょう。
スザンナさんは、日本語の母音の響き、という観点でもっと良い意味で浅い明るい母音、特に日本語のAの母音に気を付けて下さい。
ベルカント的な声の趣味から言えば、浅い感じの響きですが、素朴に喉を合わせた明るい声で、シラブルを
メリハリ良く歌う方が、歌詞発音が自然に判りますし、日本語の歌として自然です。
また、ここでは、むしろ日本語の母音感で綺麗に歌える、あるいは歌詞が良く判る方がこのアンサンブルは良いと思います。
強いて言えば、二人でハモる部分は、綺麗に歌えば良いのではないでしょうか。
後は振付は、ほぼ形が決まったと思います。合わせの回数が少ないので、あとはリハーサルでどれだけ出来るか?
特に後半は、少し振付を変えました。
二人での軽いダンスやその周辺の振付を良く練っておいてください。
HA,SA,GH
この3人のアンサンブルは声として音楽的にはとても良いです。
ハモりの良さがありますし声もバランスが良い。
ただ伯爵さんは、出るタイミングが間違えやすいところがあったり、不安要素もまだあります。
まずは音楽をかっちり、暗譜だけは確実にしておいて下さい。
振付で大事なことは、伯爵と夫人です。伯爵さんは、一つの演技で顔をあちこち向けないことです。
動かないこと、姿を決めることを大切にしてください。
そして演技が固まった状態にならないように。
夫人は、「いえいえ、それは許せぬ黙って」のところ、動きが煩雑にならないように。
また、伯爵に怒るところも、様式的に動いてリアルにならないように。リアルに動いても煩雑で良く判らない動きになると思います。
殿さま落ち着いて、と言う時は、殿さまを大切に扱って下さい。
スザンナは、ケルビーノを探す振りはして、見つけたら、客席に向かって見つかった!というリアクションをしておいてください。
KT
体験レッスン後の初レッスンでした。
改めて聴いてみても、中低音の声は音程感も良いし、良い声質だと思います。
ただ、2点Fから喉が上がってしまい、太く当って喉だけ上がる声になるか、
ファルセットでも、喉が上がってしまって息が漏れるので音程が出にくい声になってしまうようでした。
それで、高音発声の入り口を模索しました。
芯のある状態のハミングでなるべく高音まで、上がって行く練習から始めました。
この練習で、2点Gから上が声が苦しくて出なくなるのは、音程に喉が沿い過ぎてるように思いました。
喉が上がり切ってしまっている感じです。
口をもっと良く開けて、と指示したら少し出るようになり、何とか2点Aまでは、ハミング出来るようになりました。
それから、母音での練習になりましたが、例えばスタッカートで上に上るほど深く当てること。
それも、お腹でやらずに喉元に当てるように、鎖骨の中間に当てるようにすると、安定する声が出て来ます。
ドミソだったら、ソで当てるようにするのです。
この発声は低音でやらないでください。低音でやると、低過ぎて響きがこもってしまうからです。
高音になればなるほど、有効でしょう。
理屈抜きで、母音だけでの発声であれば、2点bまでは何とか行けるようになりました。
喉を力まないで喉に任せて出す方が、よほど健康的な発声になると思います。
息を出すとか、息に乗せるといえば良い感じがしますが、息漏れのある声になると高音は
絶対に出なくなるので、くれぐれも注意してください。
MM
発声練習は2点C~Gくらいまでの間を、鼻腔共鳴、あるいは声帯が開かないで、綺麗に合わさった声を
目指して練習しました。
子音をMにして、MiないしMaです。
この練習はとても調子が良かったです。
最終的にMaでやった響きは明るく、良い響きの中音域でした。
この声の感覚を憶えてください。
実際の曲では、今日は特に2点Aから上の高音で音程が下がり気味でした。
響きは、直に当った声ですが、思ったより胸声傾向の強い声だったようです。
結果的に判ったのは、声帯を合わせようとという意識が強過ぎたようでした。
合わせようとするのは良いですが、太く合わさると音程が♭になります。
もっと薄く、というイメージを持ってください。
特に2点Gから上は、薄く細く当てるということです。
この高音のピッチが決まるようになれば、素晴らしいです。