OM
伴奏合わせだった。
12月1日の曲をざっと通した。
アンサンブルの手直しは、ピアノ伴奏のリズム感と歌のフレーズの食い違いである。
基本的にピアノは歌のフレーズを頭に入れておいて、伴奏を弾くべきであろう。
また、どこでブレスするのか?と云う点も把握すべきである。
平井康三郎「平城山」では、伴奏がビートを刻むだけになるため、歌のブレスが苦しくなる。
歌と一緒に歩んで行く意識も持ってほしい。
これとまったく同じ例が、ドビュッシーの「星の夜」
これも歌の歩み(フレーズ感)を意識した、伴奏のビート感覚である。
声の温まり方も関係あるが、中低音のピッチが低いのは、あごを前に出して、喉周辺を一見楽な姿勢にするように発声するためである。
中低音では、あごを良く引くことで、結果的に響きを鼻腔に入れやすくなるはず。
この発声を覚えないと、良いピッチの中低音の歌声は得られない。
そしてこの発声があるから、更に一段上の声区にきれいに入れることになる。
時間がなかったが、モーツアルトのコンサートアリア「我が愛しの希望よ!あなたにこの苦しみはわかるまい!」
は、楽節毎のテンポの違いを明快にすることであった。
最初のレシタティーヴォは、テンポをもっと遅くして、悲劇的な印象を強くすべき。
その反対に中間部はおおらかなテンポ。そして最後はもっとスピード感溢れる感じを出すべき。
「ムゼッタのワルツ」は声が一番良かった。上あごから上の響きが感じられたし、最高音もとても綺麗に出せていた。
あとは、これもテンポの緩急をもっとはっきりと、大げさに出すべきであろう。
GH
次回コンサートの伴奏合わせ。
シューベルト「冬の旅」から、「あふれる涙」
この響きを適度に抑制することで得られるニュアンスの大切さと、声を張ることで得られる劇的な効果、の2つを良く表すこと。
ちょっとやったくらいだと、良く分からない。明快にやること。
「春の夢」明るくほのぼのとした第一節、劇的で高揚する2節目、そして幻想的な3節目。特に幻想的な3節目の歌い方に工夫を。
声を張り過ぎないが弱過ぎないこと。ノンビブラートで真っすぐに歌うと効果的。
「老楽師」テンポが速いので遅めた。ピアノ前奏の不吉な印象を良く出すためである。少し聴いただけで気味の悪さを感じることが大切。
歌い方はその前奏で自然に決まるはず。
日本歌曲「初恋」中間部のメリスマの歌い方。特に間合いは充分取って、ゆったりと朗々と歌ってほしい。声を抑えると、フォームが崩れるので、不要に抑える必要はない。このメリスマが音楽的な意味に感じられれば、声量の大小は関係ない。
「城ケ島の雨」テンポが速すぎた。軽くなると歌謡曲的な表現になる。特に前奏は信じられないくらいゆっくりと、思い櫓を漕いで行くように。思い切り暗く歌うことで、中間部の明るさが活きて来るからである。再現部は再び思いテンポに戻れるように。
「落葉松」根本的な発声の問題として、軟口蓋が上がらないため、ピッチが気になる曲である。また本質的にも声は明るい声質であることが求められる。軟口蓋を上げることは喉のポジションを高くするわけではないことは注意してほしい。
ADY
モーツアルト、Un moto di gioja An chloe そして Mascagni Ave Maria 3曲をさらった。
どの曲をどう歌うか?という歌唱表現の前に、発声課題の徹底練習になった。
発声練習の時点から、声を前に出す練習。
EやIでの練習に加えて、声を口から先に出すように指示。
また、前に出すために、舌の置き場所、その力具合に良く意識を持つこと。
そしてそれ以上に大事なことは、自分に聞こえる声ではなく、外でどう聞こえているか?という観点を持つことである。
発想の転換を徹底的に行わないと、発声法だけでは対処できない。
たとえば声を前に出してとか、高音発声では積極的に吐くように出して、という指示をして良い声が出ると「生っぽい」という印象を持つようである。
このような感覚の言葉を良く覚えて、自己練習することで、再現性が出来るであろう。
それから、彼女の当初からの課題である発声時の雑音だが、間違いなく声区の分裂状態が出来ることによるだろう。
これは低音発声時に発声しやすい。
それも、大体が1点F辺りから下になる。
低音の声区の換声点が大体1点Eであるから、この点でも符合するだろう。
フレーズで上から低音に降りる際に起きやすい点も、うなずける。
この現象を避けるには、響きを絶対に上の声区から落とさないように滑らかに対処すること。
あるいは、切り替えを意識してやってしまうかのどちらかであろう。
切り換える場合は、フレーズの形やリズムによってもなので、万能ではない。
基本は、切り換えないで対処すること、だと思う。
MM
「フィガロの結婚」スザンナのアリアからDeh vieni non tardar o gioja bella
レシタティーヴォから、良い声が時折聞こえる。
発音だが、母音のIが横開きで平たく、不釣り合い。
どの曲でもそうだが母音のIは、横開きにしないで発音・発声出来るようになりたい。
一見して響く感じがするのが理由だが、その響きは平たく浅くとても日本的である。
ヨーロッパ語族の耳には不調和に感じるらしい。
高音、特に2点Fくらいに跳躍する際に、ちょうどチェンジなので2点Fの響きは飛びださないように要注意。
滑らかになるように。
最後の高音は、今はしっかり出す方向を確立してほしい。
声は中で喉を開こうとするより、声を前に吐き出すように。
全体的には、曲調にそぐわなくても良いから、発音を徹底的にはっきり言うこと。
これは、次に歌ったVerdiの Pace でも、まったく同じこと。
それから、全体的な発声で感じることとして、改めてブレス時の身体の使い方はどうだろうか?
外見から見るに、下腹部から背中にかけての筋肉の使い具合が、まだ出来ていないように思う。
どうしても下腹部が少し緩んでいるか、前に出ているように思う。
この姿勢とブレスの方法だけで声がかなり変わるので、次回もう一度確認したい。
それから、息を吐く練習も次回はやってみよう。