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発声練習は、Jaで5度のスケールから始めました。
そして、同じくJaで母音を伸ばしてドミソのアルペジョ。
そして、最後にjajajaで、5度スケール。
2点Gまで行きました。

下顎を動かさないで、スケールの練習を誰でも良くしてもらいます。
これは、Jaという半母音を付けることで、下顎の力みを取りつつ、強制的に舌を動かすことで、
逆に舌の動きを柔らかくする効果があることと、下顎を動かさないことで、これも強制的に軟口蓋を使う訓練になるわけです。
いわゆるアクートな響きにならないですが、きれいなメッザヴォーチェの声が作れるでしょう。

曲は、ラヴェルの「聖女」から。
ほぼ良く歌えていますが、後半の換声点付近での4分音符の大きな3連符を、正確に歌うことが要になります。
リズムが正確であると、本来の音楽の美しさが際立って来ます。
音程が高く、フレーズが長いので、カンニングブレスをしても良いので、落ち着いてテンポ通りに対処することをお薦めします。

「3つのシャンソン」から、2曲目の「天国の3羽の小鳥」は、最初、音符を置きに行くような歌になってしまい、息が流れないためか、音程が♭になったり不安定でした。
喉で声は鳴っているが、そのものよりも軟口蓋の天井で、その声が反射している響きを聴くようにして歌う、ということを実際にやってみせてから、歌ってもらいました所、大成功でした。
息を吐くようにフレージングして歌う、ということに大きな意味があるようです。

信時潔「沙羅」から、「丹澤」彼女が歌う場合、この曲は固定観念のようなイメージよりも、彼女自身が主人公であるような歌の方が良いのではないか?と話しました。
旧制高校の学生帽をかぶって登山をしている戦前の男、を彼女が演じて歌う必要はないでしょう。
現代の彼女だったら、どういうテンポでどういう表情でこの歌を歌うのか?聴いてみたくなりました。

「夢」は、何も表現しなくても演奏者は感動して歌える、独特の「哀しみ」を満々と湛えた音楽なので、何も言わずに楽譜通り歌えば良いのでしょうが、それでも、何かつかみかねる判らないものが気になる歌です。
この空虚な風景と、この曲が持つ哀しみは、何を意味しているのか?
それぞれの奏者なりの、具体性が出て来ると、また更に一段違う演奏になる気がします。