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発声練習の声は、喉の調子の良さを感じさせるものでした。

良い声が出ているので、特に発声のトピックも持たずに、曲を歌ってもらいました。

トスティの「夢」から。
歌う前にイタリア語の読みをやってみました。
やはり、アクセントの抑揚がまだ出来ていないようでした。
まず読むときは、楽譜に書いてある歌詞を読まないで、巻末の詩を読んでください。
そうすると、詩の全体像がつかめますので。

そして1フレーズ毎に、アクセント位置に印を入れてください。
そしてアクセントを長母音化するようにして1フレーズを一気に読めるようになってください。
自然にイタリア語らしい抑揚のある朗読が出来るようになるでしょう。
これが出来たうえで、メロディを歌詞を付けて歌ってください。
それまで、音符しか見えないで言葉の見えない歌だったのが、驚くほど歌詞の浮き出たメロディになると思います。

どの国の言葉でも同じです。
もちろん、日本語も。
一つ一つの単語を切り離してみないで、1文節の連なりで読むこと。そのことが、意味のある文章を語るコツではないでしょうか?

武満の「翼」と「小さな空」いずれもキーを上げて譜面をおこしてくれたようです。わざわざ作ってくれた人に心から感謝です。
キーが上がってちょうどよくなりましたが、音程の跳躍で上の声が、やや強すぎるのが気になりました。
これらの曲、この後の「死んだ男の・・」も含めてですが、跳躍音程には注意が必要です。
音楽的な必然がないと、高音側の声だけ飛び出してしまって聞こえるので、音楽表現が壊れてしまうケースがあります。
ベルカント的なメロディではなく、むしろPopであり、また歌曲でもあるので、言葉の抑揚を意識して、メロディを処理するようにしてください。
具体的には、2点D以上の声では、歌声を少し飲み込むように包み込むように歌うことで、フレーズ感が滑らかになるでしょう。
そのことで、歌詞のフレーズが自然に聞こえてきますので。