UM

今日のレッスンで、最大の収穫は高音発声を進展させる糸口が見つかったこと。
ハミングで発声をすると、良い音程で軽く6点Cまで行けた。
本人も自覚あり。

しかし、母音に変換すると、とたんに喉に力みが出て、喉っぽい声になる。
これは、日本語の母音発声意識が強すぎる証拠。
彼女のようなタイプは、軟口蓋を上げ過ぎないで、母音とハミングの中間的な感覚をよく覚えておくこと。

平たく言えば、声楽における母音発声の場合、日本語のアイウエオをすっかり忘れてしまうくらいでちょうど良いということ。
特に高音発声においては、母音発声する意識と高音発声が上手く行く感覚との、バランス、すり合わせがとても重要になるということである。

ヘンデルのメサイアから、Rejoice greately
長いメリスマは、ブレスを入れるが、なるべく1回だけにすること。
中間部は、単調に転調するので、声質に気を配ること。

バッハのロ短調ミサのソプラノアリア。
譜読みに終始したが、音域が広くないので苦労はなさそう。

SNM

フォーレの「マンドリン」
単母音でメロディを歌う練習に徹した。
彼女の声は、フォーレのメロディに良く合っている。
声質と、音程感とでもいおうか。
フランス語の読みを練習。

ビゼーの真珠とりからレイラのアリア「いつかのような暗い夜に」
こちらも、単母音で練習。

発声だが、やや喉に頼っている感が、姿勢から見て取れる。
しかし、上手いなというか、彼女の肉体的個性なのか?音程感の良い声で、喉っぽさは感じない。
絶妙なバランスというか。

ただ、真の意味で高音発声に必要な頭声発声のフォームを覚えることで、じつは中低音のピッチの良さや声の響の集まりも
良くなるだろう。
単に表現として暗い明るい、というレベルではなく。

AC
サン・サーンスの「サムソンとデリラ」から「愛よかよわい私に力をかして」
メゾのアリアらしいアリア。
オーケストラで聴きたいものだ。

発声練習でやった姿勢の矯正と、お腹の使い方で、声は変わることが良くわかった。
一番変わるポイントが、5点Cから換声点辺りにかけての声。
この辺りで、良い意味で声が前に来ない傾向が、良い感じ。
後ろを通って響いてくる感じの声にすこしなって来ていた。

一方、長年苦労した低音の発声が、ようやくアルトらしい声が聞かれるようになった点。
これは大きい。
ただ、地声に変えるだけなのと、ミックスした響きになるかどうか?

このアリアで一番感じるのは、口奥の拡げ具合。
彼女の歌声は、この部分がどうやら無意識で、ほとんど拡げない発声になっている。
喉で力まないで、この口奥の拡げ具合で、声の響きを出すように。
いわば「共鳴」といっても良いだろう。
下あごを良く降ろすことと、発音の際には軟口蓋も良く上がっていること。
下あごが下がるだけ、軟口蓋も上がる、という感覚。

フォーレの「優しき唄」は、3番までを取り上げることにした。
結局、オペラアリアだから、ということではない、前述の口腔の共鳴のさせ方。
メゾソプラノというよりは、アルトという声にこだわってみると、彼女に限っては、共鳴はとても重要ではないだろうか?
それだけ、大きな口腔の容積を持っているわけで、その容積を活かした声の響きを得るほうが、彼女の持ち声の良さが際立つと思うから。
それは、声楽というジャンルにおける美意識に依るが。