MYM
発声練習では、喉を太く使う方法から始めた。
弦楽器の弦は太いほうが良く響くのと同じ原理を考えた。
低音発声を見ると、3点Dくらいまで声が出せていた。
これはかなりな低音まで出る喉である。
ただし、スリムな響きである。
声はリラックスしているほうが良く響くのも同じ原理である。
トスティの「春」から始めた。
発声練習でも指摘したが、やはりチェンジの発声法の問題が残っている。
今日もだいぶ訓練したが、ブレスの準備などがきちっと出来ていないと、ぶれてしまい上手く行かない。
ブレスの準備が落ち着いて出来れば、大丈夫。
トスティの「4月」
こちらは、チェンジの発声が特に難しかった。
彼女の場合、母音のIとEで、必要以上に喉を合わせてしまうために、チェンジ近辺の扱いを間違えると、喉を痛めてしまう。
この喉を傷まないように、言い換えればかばうようにして発声する方法を覚えなければいけない。
自分の場合は、下あごを良く降ろして喉が上がらないようにしておけば、IでもEでも、Aと同様な喉の「開き」感覚になるので、安心して出せるのだが、
彼女の場合、下あごを下ろしても、IとEの日本語母音の癖が強く出てしまうようである。
喉を痛めるのは、そのことが原因ではないか。
試みにAでやってみれば、上手く行くわけである。
逆に考えれば、高音発声になってきたら、母音の形に拘泥しないで、良い意味で適当に対処すること。
母音の形よりも、喉のことを第一に考えた発声、ということが言える。
歌う際に、必ず息の流れを意識すること。息は上に流れること。
そのためには、ブレスと歌うときの腹筋の使い方が重要。
MH
1か月半ぶりになったが、調子は上々だった。
発声練習は、やはり高音発声、特に換声点の通過について、訓練した。
一番効果があったのが、フレーズを歌う中で、低音ほど頭部に響かせる意識で、高音になるほど喉奥を意識する方法。
音域を点で捉えないで、フレーズで歌う方法を取るのが、一番わかりやすいと感じた。
それから、ブレスの方法について。
特に短い間隔のブレスについては、口を閉じて息を吸い直さないようにする方法を教えた。
これは、厳密にはお腹を使ったブレスが出来ないと難しい。
お腹のブレスは、腰を入れた姿勢で成り立つこと。
このことで、丹田の直腹筋から始まって斜腹筋が働き、背筋と合致して呼吸系統の体が良く働く。
この腹筋の適度な緊張を持続することで、歌う中での微妙な呼吸のコントロールが機能すること。
これらの働きを単純化して書くと、ブレスで側腹がふくらみ、そのまま歌いながら拡張していくが、
それに比例して、お腹前面はへこんでいく。
このため、お腹前面は決して硬く固定してはいけない。
このことが、歌声に呼応して自然に息が流れる発声になるからである。
曲はアマリッリから始めた。
とても良く歌えていた。
強弱を更にはっきりつけることと、発声でやったように、短いブレスで喉の状態を変えないで、お腹でブレス出来るように。
そして、ヘンデルのOmbra mai fu こちらも中声用で。
低音ほど頭部に息を送るように出すことと、高音の換声辺りにかけて、喉を拡げていくように。
GH
日本歌曲で、山田耕筰の「この道」から。
身体に悪い意味で発声だけに集中している感じの歌声になっていた。
発声に集中することは良いことだが、発声としても硬くなってしまうのであれば、虻蜂取らずとなってしまう。
どちらが先とも言えないが、やはり歌詞を歌うこと、強弱を意識して歌うべきではないだろうか。
強弱は、歌詞を言う意識から出るから、結局歌詞の解釈ということになるのだが。
「からたちの花」
全体にテンポがやや速い。落ち着いて、強弱を良くつけて。
思い出を、静かに楽しく、思い出して悲しく語るには、それに相応しい
フィガロの結婚、アルマヴィーヴァ伯爵のアリア。
全体に強声で歌いとおしてしまう感じで、これも、歌の表情が硬過ぎる。
ピアノ伴奏部にある強弱を良く見て、歌声にも強弱をつけて歌うと、このアリアの面白さが良く出てくる。