2014年9月14日レッスンノート

MH

全体に、発声時のあくびのフォームが強すぎて、高音発声への換声が出来ない状態。
中低音は、ハイバリトン的な響きで、良い声には聞こえている。
このままでも、換声点近辺の声量の持ち方や、声の当て所などを工夫すると、上に伸びるとは思う。
ただ、それを探すのが難しいと思った。

今日は、この点で、下あごを使わないで、上あごだけで歌う方法をいろいろ試した。
まず、母音をIにして、鼻腔を開発するために、ミミミで練習。
その後、Jajajaを練習するが、下あごを動かさないのが、難しいようだった。
舌を良く動かすことを支持して、何度か練習するうちに、何とか動かさないで出来るようになってきた。

最終的に、この方法で半母音Jajajajaで練習をすると、高音側の換声点付近の発声で、喉が開くようになってきた。
これが、最大の成果だろう。
本人は、こんなに喉が浅くて良いのですか?と言っていた点が、発声における勘違いの大きさを表していると思った。

喉は深いのが良いのではなく、人それぞれの最適なポジションがあるだけ。
そして、深いが浅いか?ではなく、歌っている間、一定であるかどうか?という点が大切であること。

以上練習してのちの、Ombra mai fuは、喉が楽になって、良い意味でテノーラルな響きになっていた。
また、出だしのフレーズのブレスが長くなり、楽に聴こえている。

Amarilliは、音域が狭いので、今回の発声の違いは、あまり反映されていない気がしたが、特に問題ではない。
最後のPPPで歌うAmarilliの長いフレーズ。こういう高めの音域での弱声こそ、あくびの喉の深さが役に立つ。

このことからも、喉頭のフォームというのは、声量と音高の関係が反映されるものなのである。
これも結論から言えば、喉頭がどう動くのか?という本質的な癖が分かれば、自然に対処出来るようになることではないだろうか?

HA

木下牧子「さびしいカシの木」中低音中心なので、最高音の5点Eの声でちょうど換声にぶつかってしまう点が課題。
これは5点Eの響きに合わせた中低音にしたほうが、ピッチの良い声になると思った。
しかし、これを今やると、どうも声量が出ないようである。

中低音発声での、声帯の合わさりが悪いのだ。
本当は、中低音発声ではもっと喉の位置を高くさせて、声帯を良く合わせるポジションを作れると、
今回の問題はいとも簡単に解決できると思う。

彼女の場合、まだ中低音発声で喉を開けすぎている、と思う。

「霧と話した」こちらは、基本的に良く歌えている。
あとは、歌いこむことで、型通りではなく、自分独自のイメージを持つことが、より通じる歌になると思う。

グノー「ロメオとジュリエット」「私は生きたいの」
譜読み段階だが、基本的に彼女の自然な歌声にぴったり合っている印象。
特に3拍子の基本テーマが非常に印象が良い。
練習を早急に積み重ねてほしい。

ST

咳がなかなか治らないが、このところ発声の成長が著しいのが救いである。

今回、一番の収穫は、Gianni schicchiのO mio babbino caro 中間部後半でO Dioを5点Fで伸ばすところ。
どうしても締った声になってしまう発声が改善、解決されたこと。

結果的にわかったことは、本人は締めている意識がなかったとのこと。
この違いが分かったことが大きい。

このことから言えるのは、自分の耳に良く聞こえる声イコール良い声とはならないこと。
喉をしっかり使っている感じがするか?しないか?という点も感覚的に知る必要がある。

Dormi bellaでは、中間部のVivaceでの歌い方。
これも、本人が思うよりもアクセントを強調できるかどうか?
アクセントを強調する歌い方は、息を吐く歌い方がしっかり身についているかどうか?
が大きな課題。
声の響で強調しようとすると、テンポを遅くしてしまう。

このことでは、次のドナウディのCome l’allodolettaでも出てきた。
言葉さばきなのか?音符の歌い方の問題なのか?
テンポがひっかかってしまう。
Cosi fugge la pace l’allegranze ここは、㍜G~5点Esまで昇る音型。特に5点C~Esを歌うPace l’allegranzeの発音を下あごを動かしてしまうことが大きな原因。
声の響きにも影響があるのだが、舌を動かすだけで、ずっと良く響くようになるはず。
というか、響き方が違うのであるが・・・・。

結局、舌の動きが悪いために、顎を使って発声してしまうことが、音符のリズムを遅くする原因。

Gianni schicchi は、冒頭に書いた通り。
高音発声は、良く伸びるようになったし、中音域の声も膨らみと厚みがついて来た。