2014年9月26日

AS

前回から引き続いた発声練習方法で始めた。
総合的に見れば、鼻腔に集める声の出し方と、喉を開ける出し方、いわば胸に響かせる出し方とのバランスを取る方法になった。

鼻腔にだけ集めるために、最初にmimimiでキンキンした薄く前に響く声の練習をした後に、少し口を大きめに開けて、低い共鳴を持たせた発声を混ぜるようにした。

こうして、良い声の方向性を見つけていく。

きびしく注意したのは、5点Dくらいから、口を横開きにして声を前に出す癖。
こういう声の響に対して、もっと慎重になること。
常に、喉の張りを出そうとするのではなく、少し開いていて息の力で共鳴感が生まれるような発声を大切に。

フォーレの「夢のあとに」
冒頭のフレーズの入りで声を出し過ぎるため、1フレーズのブレスが持たない。
この後、常にこの問題はついて回ることになるが、常に声の出だしのコントロール、フレーズの中でどこに息をもっとも多く配分するのか?そして、そのためにも、ブレスの位置とブレスの仕方を良く考えること。
そう考えて歌を歌うと、メロディに酔っている暇は、今な持てないはず。

「イスパハンのバラ」伴奏のテンポ感、微妙な揺らぎを意識して弾いてみた。
このことで、歌うモチヴェーションがどう変わるか?という点が大事だと思った。
声のことは、以前にも指摘した点がまだ治っていないが、とにかく今は音楽を確立することが先決だろう。
跳躍するフレーズで、喉を上げないような発声、という点、もう一回良く検討しておいてほしい。

「月の光」これも、伴奏とのアンサンブルを中心。
伴奏のテンポ一つで、音楽がガラッと変わるので、テンポ設定が大事な音楽である。
ところどころ、PPで始まるフレーズがあるので、これも声の出だしに注意を。
PPになるほど、喉が上がらないよう良く気道を拡げるようにブレスをすること。
そして、柔らかく丁寧に声のアタックを始めること。
このような箇所がいくつかあるので、良く検討しておいてほしい。

IM

体験後の初レッスン。

発声練習におよそ30分ほどかけて得た今日の結論は、鼻腔あるいは鼻根に声を集める意識と、息の流速を速めた発声のために、
喉頭や諸器官が、おそらくかなり固着化しているのではないか?
発声器官は、適度なリラックスを持たせないと、本来の良い響きが出てこないし、当然、高音発声もままならなくなる。

ということで、胸に響かせることで、その固着化を解いて行く作業が主となった。
緊張した喉は、軽く胸に響かせる意識を持つことで、リラックスするからである。
また、息の流速を速める必要もないので、必然的に声量を強く意識しないこととなった。

ただ、この方法だけだと、どうやっても換声点の通過が難しい。
ある程度声量を出せば、何とか5点Gは行けるが、おそらくそこより上は難しくなるだろう。

ハミングとファルセットを組み合わせた発声をやってみようとしたが、ハミング自体が慣れないので、これは断念した。
ファルセットは出来るようであるが、これも喉に力が不要に入ってしまう点が×となった。

それで、息を吐く練習をすることで、声帯の開いた発声感覚を覚えることと、結果的に息を回すような発声を覚えることで、
フレーズ中の高音に自然に達する方法を練習した。
平たく言えば、高音中低音は、声を前そして高音への換声点になるにつれ、方向を脳天、そして後頭部へ、という具合に息を送る方向を変えることである。
ドレミファソ~が、たとえば5点C~Gなのだとすれば、脳天から喉頭にかけて回すように意識を持つことである。

このような息の使い方の感覚を身に着けることで、結果的に声帯の閉じ具合や伸び具合を自在に変える結果になる。
そのことで、高音発声が容易になる、と思ってもらえればよいだろう。

実際にヘンデルのOmbra mai fuのEsDurで歌ってもらった。
結果的には、口を適度に開けた発声をすることと、胸に響かせることという2点だけで、劇的に良い声で歌えるようになった。
ブレスは足りていないと思うが、そのことはむしろ後からで良い。

本人はまだ今の声が半信半疑だと思うだろうが、慣れてくると自然に息が持つことが分かるようになるからである。
この声域で、どの程度良い声で歌えるか?ということを積み重ねて行けば、自然に高音の発声はついてくるだろう。