SNM

中田喜直=寺山修司による、「悲しくなったときは」
彼女の歌は出色の出来で、このまま本番に出してもおかしくないほどでした。
声のセンスというのか、詩と音楽が持つ、誠実で真摯な人柄や、海というテーマを彷彿とさせるダイナミズムが直截に表現されていました。
素晴らしかったです。

カルメンの「ハバネラ」は、まだ歌詞の読み込みに時間がかかりそうです。
こればかりは、練習あるのみです。
次のファウストの劫罰のアリアもフランス語ですが、歌詞を読む練習は、譜面上の歌詞ではなく、なるべく詩の状態で読んでください。
発音記号があるからという理由もありますが、ご自身で辞書から読み方を調べて、詩の中に鉛筆などで分からない発音だけ、書いておくのも良いでしょう。

「ハバネラ」は、詩の意味を演ずるのではなく、メロディラインをどれだけ滑らかに歌えるか?また、美しい声の響であっても、Mpくらいの抑制した響きでレガートで歌えば歌うほど、この曲の艶やかさが活きてくると思います。

OS

海外在住の方ですが、10年ぶりくらいで訪ねてくださいました。
嬉しいことです。

声はすっかり進歩していて、実にレガートで良い歌が歌えるようになっていました。
中低音から発声を始めましたが、以前は地声になっていた声が、綺麗に開いた発声になっていました。
高音区の声も、軽やかで無理がありません。

選曲が重いアリアとのことで、高音の発声に芯がないとのことですが、無理に声を出して吠えてしまうよりは良いということを話しました。

一通りいろいろ歌ってもらって気づいたことは、長い間でしょうか?レッジェロな発声を教わっていたために、どうやっても無理な高音発声をしないし、そういう感覚に対して敏感になっていることがメリットなのではないでしょうか?
その意味で、彼女であれば、逆に思い切った高音発声をしても、もう良い時期ではないか?と思いました。

特にカルメンのミカエラのアリアは、うってつけではないでしょうか?
最高音は、口を縦に良く開けて前に吐き出すように出すこと。
また、当該音よりも、その前から開けた発声を準備しておくと、失敗は少ないと思います。
ムゼッタのワルツも同じです。

アーンの「クロリスに」は、出だしのピッチを高く取らないで、下から取る感じの方が、落ち着いた深みのある声になります。
その前に歌った「カディスの娘たち」は、フランス語の発音を各所修正しました。
気を付けるのは、あいまい母音になるところが、イタリア風の発音になってしまう点です。

英語が出来る方なので、流れで発音する傾向がありますが、シラブル一つ一つをもう少し立てるように発音する練習をすると、良いと思います。
それが出来たうえで、フレーズの流れをすらすら読めるようになれば完璧でしょう。