TSS
発声練習は、今回も下降形で始めましたが、低音発声から高音換声点以降まで安定していました。中低音の声質はややくぐもった響きなので、もう少し前に明るい響きを意識してもらいました。
小林秀雄「日記帳」から練習を。
これも、中低音の発声を鼻腔に響かせるように意識してもらいました。
あとは、言葉の抑揚を中心に、フレーズを歌うこと。すなわち、強拍で素直に声をひびかせたり、跳躍時に声が強く出たりし過ぎないように、言葉の抑揚、アクセントを中心に考えてフレージングすることです。
フォーレ「我らの愛」
軽やかなな声の魅力が感じられるようになりました。
大きな声を出さないで、綺麗に歌おうとする姿勢が良かったです。
昔の歌手のような、典雅な味わいが出てきました。
グノー「ロミオとジュリエット」「私は生きたいの」
テーマの3拍子の部分は、非常によくなりました。リズム感と中低音の声も良く通っています。
冒頭の笑い声は、妙な感じでした。
ここのマルカートの指示は、スタッカートよりは長めですが切れた響きにして良いと思います。
ただ、急がないでほしいので、マルカート記号が切れて半音階のメロディになる直前でカンニングブレスがあっても良いと思います。そのことで、最後の4拍の四分音符による半音階の表現に余裕が出来れば、そのことの方が大事だと思うからです。
出来れば最高音のロングトーンにビブラートが付くようになれば最高です。
もう少し軽く出せること、余裕があること、息を自然に吐き出す感覚で発声出来れば、自然にビブラートがつくはずです。
AC
伴奏合わせでした。
フォーレの歌曲集「優しき歌」より、6番と7番。
そして、ドリーブの「カディスの娘たち」
カディスの娘たちは、発声面の徹底練習となりました。
これは、音域が広く発声が難しいからです。
頭声発声がないと、高音が苦しいですが、かといって頭声発声だけだと低音が響きません。
今回は頭声発声を意識して高音発声を楽にしてから、そのまま低音に降りる練習をして、その後に中低音で普通に声を前に響かせるように練習をしました。
ご自身で練習する際には、必ず頭声の練習をしてから低音に降りる、という練習を一旦して、その後で地声を混ぜて練習してください。
そのほうが、声のピッチが良い中低音の声が出しやすいですし、喉にも良いと思います。
最後の5点hは、フレーズで喉を開けていって、最後の5点hだけ、喉の下、鎖骨の中間辺りに狙いを定めて一気に当てる、と言う方法を取りました。
これは、歌いながら喉を開けていかないと上手く行かないので、気をつけてください。
フォーレは、発声は上記と同じことを大事にした上で、ブレスポイントをあまり多くしないことです。
フレーズを歌う緊張感みたいなものが、音楽の表現になりますから、安易にブレスを入れないで練習したほうが良いでしょう。
あとは、テンポの設定を確立しました。
7番の後半のテンポは、充分にゆったりしたほうが、表現に適うと思います。
6番は、逆に後半の入りから、フィナーレにかけて、一気呵成に歌い進む感じが、表現に適うと思います。
IM
イタリア古典歌曲集からStar vicinoで練習を始めました。
高音発声がずいぶんと伸びて来て、フレーズもブレスが伸びてきました。
息が続くようになったと思います。
本人は、まだまだ不十分だと感じているようですが、以前に較べるとはるかに良いです。
今回、あまり意見を言わないで本人の納得の基で歌ってもらいました。
相当に発声を意識して歌っていることが分かるし、それが上手く行くと、確かに効果的になります。
ベッリーニのVaga lunaも、ほとんど上手く行きますが、最後の畳み掛けるように続くフレーズのカンニングブレスが難しく、途中で疲れてしまうようでした。
今回、本人の申告によると、足、特に太ももに相当な力を入れて、踏ん張って立っているため、疲労が甚だしいとのことでした。
やはり、発声のために頑張りすぎてしまうのでしょう。
私からの提案は、両足の裏に6つのポイントを置いて、そのポイントを順番に重心移動させながら歌う、という方法でした。
両足を、やや前後に斜めに置き、効き足を後ろにします。
効き足のかかとが1、土踏まずが2、つまさきが3、そして前に置いた足も同じポイントで、かかとが4、土踏まずが5、つま先を6とします。
歌いながら、この数字を、後ろから順に進めていき、重心移動させます。
このことで、下半身の硬さをほぐしつつ、重心を常に感じること、またフレーズの音楽的な時間軸に沿って重心移動があることで、フレーズを意識できる、という一石二鳥の方法になると考えました。
私自身が、この方法で、歌うときの体の硬さ、フレーズ感の無さを、かなり解決できた記憶があったことによります
ブレスをどうするか?特に短いブレスのときは、どのタイミングで入れるか?という点ですが、ブレスはフレーズ内のブレスと、いわゆるフレーズ外のブレスがあります。
フレーズ内のいわゆるカンニングブレスは、足の重心移動は止めないで、その動きの中でやってしまうことです。
フレーズ間のいわゆるお休みのブレスは、もちろん最後の重心6と次に来る最初の重心である1との間ですることになります。