AS
発声練習の課題は、換声点の少し前辺りの発声で声を前に出さないで、奥を良く開けること。
特に5点C~E辺りです。上向形だと、この辺りで必ず喉を締めるような声に感じます。
本人は多分意識がないのでしょう。
締めて前に出さないで開いて通す、という感覚を大事にして下さい。
響かせよう、鳴らそう、という無意識が喉を締めることに通じるのです。
それから、換声点から上に関しては、喉下の鎖骨の窪み辺りを意識することで、喉が上がらず、良い当たり具合になります。これは上手く出来ていました。
10月10日のコンサートのプログラムをざっと一通り通しました。
最初のプーランク Banalite は、少し時間をかけました。
特に1曲目。全体にFやMFが多いのと、演劇的なので、声を張り過ぎてしまいます。
やかましい音楽になってしまう点をくれぐれも注意してください。
日本歌曲は、山田耕筰から、「かきつばた」「AYANの唄」「曼珠沙華」
歌いすぎないで、語ることで、日本語が分かる歌になります。
そのためには、フレーズを流すだけではなく、意図して区切る、止める、というようなことも必要になります。
楽譜には書いていないか、よく見ないと判らない楽譜指示もあるでしょう。
聴く者が、言葉が理解できる歌を歌うにはどうするか?という視点と意図を持って練習してください。
発声の
と同時に、フレーズを滑らかに丁寧に歌うことを大事にしてください。
TSS
低音発声の練習ということで、徹底的に鼻腔共鳴の練習をしました。
練習方法は、ひたすらハミングの練習に励みました。
ここでは詳しく書きませんが、低音域で完全な地声(胸声)にならずに、発声できるようになるためです。
この理由は、胸声に変換してしまわないで発声できることで、フレーズの連続性、結果としての高音発声に好影響があるからです。
ハミングでは、徹底的にピッチを高くすることと、響きを集めることを練習します。
このためには、低音発声を起因とする喉が下がろうとするバランスを改善して、喉を少し高めに意識することが好結果を招きます。
おおむね、低音発声はこの喉が下がることと、下げないこととのバランスが決まると上手く行きます。
下げることが影響するのは声質、喉を上げることが影響するのは音程、と覚えてください。
音程を大事にすると声質は犠牲になり、薄く浅い響きになりますが、この状態が低音発声で地声にならないための、コツになります。
従って、低音らしい良い声を出そうとすると、上手く行きません。
曲は、ジャンニスキッキのラウラのアリア。
低音発声では、息漏れがないように声帯の当たりを丁寧に行う様な、歌い方を練習しました。
誤解を恐れずに言えば、もっと喉を使う意識です。
それは、地声ではなく、ハミングから母音に換える歌い方をする中で、極端に息を流さないような歌い方、ということになります。
発声練習だったか?子音のBを使ったと思います。
Bababaabaで練習すると、子音が破裂音ですから声帯は閉じる方向で声が出ます。
その際に鼻腔を開けてそこに響きが通るように意識することで、さらに良く声が通るし、音程も良く聞こえるのです。
低音発声は、このことを良く意識し練習してください。
高音発声は、逆に意識しないでそのまま思ったように出せば良いのです。
声は現状では自然に必要なだけチェンジするはずです。
それを、余計にチェンジを意識するために、声帯が開き過ぎてしまう、という感じがしています。
日本歌曲「日記帳」は、ひたすら低音発声の訓練です。
発声は上述通りですが、もう一点大事なことは、単語単位で響きが変わらないように、下あごの使い方に十分注意してください。
逆に言えば、なるべく下あごを母音発声の違いに関与させずに、舌と唇だけでそれを行うことです。
例えば「ブーゲンビリアの~」と歌うとき、似たような音程感を行き来する「ブーゲンビリア」だけは、下あごを動かさないこと。
そして、次の音程が跳躍する「の~」は、口を開けることで、響きがより出せるように調節する、という具合です。