日本歌曲は、橋本國彦の「お菓子と娘」から。
この曲、地味に難しい曲です。
音域は狭いが、ダイナミックスの幅が広くて、しかもどちらかというとMezzo piano 以下の表現が多いです。
瀟洒な仏蘭西、という戦前の憧れのイメージと明治が残っていた日本的な雰囲気がないまぜになって、現代人からは、とてもエキゾチックなイメージを大事に表現することが求められるようです。

また、歌詞を良く理解してもらうことと、歌詞の母音の美しさを強調するためのアーティキュレーションを工夫する必要があります。
これは、朗読によって培われるし、細かく教えても実感しないと、歌に反映させるのは難しいでしょう。ひたすら朗読の勉強をするのみです。

中田喜直の「むこう、むこう」
昭和のラジオ歌謡、といった雰囲気の可愛らしい曲で、明るく爽やかな歌声が求められます。
イタリアオペラ的な発声が、最も嫌われる作品でしょう。
かといって、童謡歌手のような歌声や歌い方もわざとらしい。
下あごを使わない、上あごで歌う明るく前に響く発音・発声を学んでください。
上唇を少し持ち上げたまま、発音すると、音程が良く明るい発声になるための、支えの要素になります。

ドビュッシー Voici que le printemps
フランス語の母音は、こちらでは、3種類に統一しています。E A Oの3種類です。
不定冠詞のUnは、Eの鼻母音に置き換えます。
その他鼻母音特有の読み方について。

5点Eくらいからは換声点固有の発声方法は、覚えてください。
そのまま音程で持ち上げると、微妙に喉の締まった声が、表現に相応しくないというか、声楽的ではない雰囲気になってしまいます。