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発声練習の声は、バランスが良く安定していました。
低音も高く集める意識を以て歌えていましたし、高音もきれいにチェンジしています。

実際に歌うと、歌詞を読む力が、悪い力みになって、微妙に♭になる傾向があります。
歌詞は大事ですが、声楽の特にソプラノは、声のラインだけで、どれだけ美しい響きに出来るか?という面が大きいのです。
それは、特に今回のリゴレットのような役柄の歌声に、要求されると思います。

今日は、リゴレットの「うるわしい名前」から練習をしました。
一言にまとめると、ピッチを高めに細く丁寧に滑らかに、メロディを徹底して歌うことです。
余計な感情の起伏などや、ドラマ性は感じないほうが、この曲のクールな美しさを表現できるでしょう。
徹底してレッジェロの特性を活かした曲作りを研究してください。

モーツアルトのドン・ジョヴァンニのエルヴィラのアリア「不実なる男、我を裏切り!」
こちらの方が、心情吐露の歌で、勢いで歌いやすいと思います。
しかし、モーツアルトの音楽から行けば、リアリズムより、声楽のスタイルを大切にしてください。
リゴレットと同様に、声のスタイルを作るために、もっと細く音程を高めに意識した声を目指してください。
そのためには、低音域から、声を高く集めて前にフレージングするようにしてください。
この時、下あごを降ろして、喉を太く開けないように注意して、歌ってください。、

OM

山田耕筰の歌曲集「幽韻」「はなのいろは」から始めました。
この曲は、八分音符が72で8/8拍子ですから、四分音符単位だと36と、とても遅い曲です。
譜読みの時に、特にリズムには十分気を付けてください。
4ビートで音楽をとらないで、8ビートで取ることを忘れずに。
無意識で4ビートで数えたくなると思いますが、これが間違いの元になります。

そして、基本のリズムが完全に身体に付いて、フレーズをリズム計算なしで自然に歌えるようになると、ようやくこれらのメロディが、
長唄などの朗詠の調子が基本になっていることが、判るでしょう。
そうなれば、自然に長いフレーズを朗々と歌えるようになり、そうなってこそ、この曲の表現が完成となります。

2曲目の「わすらるる」も3曲目の「あらざらむ」も、リズムソルフェージュの意味は、同じことです。
動画に、長唄や都都逸など、たくさん載っていますから、ぜひ聞いてみてください。
これらの邦楽の歌の歌いまわしを基に、どうやって声楽として成立させるか?というところに、この作曲のコンセプトがあるのだと思います。

声は、この曲に限らず換声点の5点F前後で、喉を無意識に上げないために、前に出さずに上唇で少しだけ被せるように意識して発声すると、
メロディラインが滑らかに覆われて、品の良い表現になります。

このことは、次のマノンのアリア2曲でも、まったく同じです。
中低音の声質は滑らかで音程感が良いので、美しい印象がありますが、換声点5点Fから直後のGは、発声を相当意識してください。
前述のように、声を前に開けっぴろげに出さないように、気を付けてください。
ただ、最高音域に属する5点bから上の声の響きは良く、問題ありません。