2017年4月27日声楽レッスンノート
OM
コンコーネの41番と42番から始めました。
課題は5点Fの声。口を開けないで鼻腔に通すようにということ。
また、この近辺では口でバクバク発音しないで、やはり鼻腔から鼻根を狙って歌うこと。
それは声の響きを高音への良い頭声に繋げるために、とても重要なことなのです。
下顎をバクバク動かして発音・発声すると、喉への負担が大きくなり、かえってファルセット性の強い声になりやすいのだと思います。
それを避けるためです。
あとは、旋律の歌いまわしを教えました。
スラー記号がついているとところと、ついていないフレーズ。その違いを良く感じること。
また、3連符など、リズムの形をより明快に大げさ目に表現することです。
ヘンデルのVadoro pupilleから始めました。
良い声で歌えていますが、声の統一感という意味で換声点近辺の発声を課題としました。
単純に口先を開けるのではなく、開けない分の息の流れをどこに持っていくか?という発想です。
口をバクバク開ける発声をすると、息の流れが口先に出てしまいます。
そうすると、呼気が強く出るため声帯が開いてしまいます。
これが声が引っ込んで、スカスカした声になる原因です。
もう一点、呼吸です。
呼吸法によって、この声帯の状態がある程度規定されますから、これも高音発声になるほど重要性が高まります。
一言で説明すれば、いきむことと息の流れを作ることを、背筋と声帯の関係で構築すること、となります。
ブレスする時に、側腹から腰にかけて膨らませるようにします。
このためには、下腹部の丹田に少し力を込めます。
これで呼吸と側腹から腰が自然に膨らむブレスが出来ればOKです。
あとはこの腹筋の働きを利用して、呼気を伸展させます。
つまり、歌う際にもこの腹筋の伸展を利用するわけです。
このことで、声帯は無駄な開きを起こさないで、呼気と声帯との理想的な関係を構築できる、という理屈です。
発声のことで長くなりましたが、この曲も曲想をリズム感の特徴を良くつかんで、それを聴いている人が判るように歌うこと、に尽きます。
音符のリズムの形であり、フレーズが表すリズム感です。
良く音楽を感じて、その違いに留意してください。
最後にモーツアルトのアリアを2曲歌ってもらいました。
大好きなモーツアルトですが、こちらは一段難しいです。
今日の発声の課題である、換声点の発声から更に上の5点Aから再び難しいのは、そのままで上がれても6点Cが限界になるからです。
彼女の場合は、そのまま上がって6点Eまで行けますし、Fも行けますが、メリスマが回りにくいと思います。
メリスマを縦横自在に回すためには、声帯が少し開いて息で共鳴を作るようにして発声することを覚えないと苦しいでしょう。
この点が課題ですが、今はこの点に習熟しなければならないか?という判断が難しい所です。
オペラ研修所で要求される声のキャラクターやレベルがあると思います。
音域の拡大とテクニックを追う前に、声の響の格上げをまず大切にして、自分のスキルを伸ばしていかなければいけないだろうと推測されるからです。
換声点の発声に習熟すれば、自ずと高音の換声点の処理も分かるようになりますので、今は選曲としてコロラトゥーラの選曲は待つべきではないでしょうか?