2017年5月20日声楽レッスンノート
TNA
胸式呼吸になることで、喉のフォームが高くなり過ぎないように。
腹式呼吸を意識することと、主に低音発声時に鼻腔から発声が始まる感覚を養うことで、息もれの無い発声を目指しました。
このことで、高音発声への換声点通過も自然に出来る可能性が高くなります。
喉のフォームが安定するからです。
鼻腔発声は特別なことではなく、軟口蓋を使うという意味にとらえてください。
軟口蓋や鼻腔から声を出だす感覚を持つことで、悪い意味での喉への負担も減るでしょう。
フォーレの歌曲、「秘密」と「イスパーンのバラ」いずれも、クレッシェンドのフレーズでテンポが先に進まない感じが散見されました。
これは、呼気と声とが、リンクしていない、つまりお腹が上手く使えていないからだ、と思います。
ブレスから歌い出し、そして歌っている間のお腹の使い方、を摸索してください。
少ない呼気でいかにフレーズを歌い通せるか?
MR
母音のIで発声をすると、喉と軟口蓋のバランスが悪い感じになるので、母音をUにして練習をしました。
何を意図したか?というと、発声時、喉頼りで何となく声を出している状態なので、これを一つのフォームにしっかりまとめる、ということです。
Uを使うと、喉が適度に下がった状態で、かつ軟口蓋を使いやすい、ということになります。
このため、バランスの良い発声フォームをつかみやすいのです。
ただ、Uを使うために下あごを下げて喉を深くする癖がある人は、要注意です。
鼻腔の響きだけを利用するため、下あごは絶対に下げないで遣る癖を付けてください。
彼女の場合、下あごを使う発声が悪い影響になっていると思います。
極力、下あごを発声に関与させないでいかに歌うか?ということを研究してください。
ヘンデルのVadoro pupilleも、Piangero la sorte mia、いずれも、口先を開けないでUの母音で練習してから、歌詞にして練習しました。
いまさらですが、昔からよく言われる「あくび」の状態の喉、ということが正しく理解してもらう必要性を感じました。
NK
彼女も中低音発声でピッチが下がりやすいので、鼻腔の感覚による発声を教えました。
発音の際に、下あごを使わないようにすることで、鼻腔発声のために必要な部分が開発されます。
そして、あごを動かさないことで歌声の息の流れを、自然に鼻腔方向へ意識することです。
これらの感覚を分かりやすく身に着けるために、口を開けたハミングの練習をします。
このハミングで正しい音程を確保しつつ、芯のある響きを狙います。
ハミングが出来たら、開けた口の形を絶対に換えないで、そのままの口の形で母音に変換します。
これは、やり方の慣れと正しい判断の耳が必要なので、独学の場合は注意が必要です。
実際の歌の中では、やはり下あごを発音に関与させないで歌うこと、が重要です。
冒頭に書いたように、そのことで使うべき筋肉が開発されるからなのです。
一見不自由な感じがしますが、不自由な感覚を持つのは、声と呼気が一瞬行き場を見失うからなのです。
鼻腔を通る、という意味が判ると、このことが自由になるのです。
歌詞を歌う際に指をくわえて練習する方法も良いとは思いますが、彼女の場合は下あごを前にかなり出すことになるので、やらないほうが良さそうです。
鏡を見ながら下あごを片手で抑えて歌ってみる方法が良いでしょう。
NC
低音発声時に息漏れが自然になっているのは、結果的に高音発声に悪影響があると考えました。
彼女も、ハミングでピッチの高い響きを身に着け、そこから母音発声に応用します。
特に中低音は、地声にならずにきれいに声帯の合わさった響きになるようです。
ちょっとしたことなので、この中低音で息もれの無い声をだす努力を続けてみてください。
結果的に高音発声にも応用が効くようになるでしょう。
高音への換声点は5点Fで、明快にソプラノです。
声も良いバランスの声が聴こえており、クラシックで歌うならほぼ問題ないレベルです。
彼女の意図は、よりアクートの強い声のようです。
それで、母音をIにして、鼻腔発声を強調して前に出すように教えました。
これだけでも、かなり響きは前に集まって芯のはっきりした高音発声になっています。
より強い声を求めるのであれば、口を開けない発声ではなく、口をしっかり開けて、口から吐きだすように発声する方法も良いでしょう。
下顎を良く降ろして、単純に吐きだすように高音を発声します。
教えると、ほぼこちらの意図に即応した声を出すことが出来るレベルですが、こちらの耳で感じる以上に、喉の負担があるようでした。
これについては、多分腹筋が未開発な状態で出しているため、喉への負担が増しやすいのではないか?と思われます。
それで、最後に腹筋の使い方を検証しました。
見ていると、前腹全体を強く引っ込めるように出しているように見えました。
下腹部を少し締めるようにして息を吸うと、胃の当たりが前に出て来るのですが、この状態を+1として歌い出したら2~3と意識していくこと。
そうすると、必然的に下腹部が中に入って行くと思います。
これが出来ると、横隔膜が不要に動かないので、呼気のコントロールが良くなるし、必要な時に呼気を強く出すという配分が決めやすいのです。
慣れるまでが時間がかかりますが、トライしてみてください。