2017年6月11日声楽レッスンノート

TSS

今のところは、超高音域の発声が課題だと感じています。
曲で言えば「ラクメ」です。
多分、この曲の5点b以上は、ほとんど喉の感覚だけで歌ってしまっているでしょう。

これを解決していくことが、この曲をより美しく歌う鍵になるでしょう。

基本的に喉を締めないように発音すること。
そのためには口の開け方と喉奥の感覚を開発してください。
高くアタックする必要はありますが、喉が締まってしまうと意味がありません。

喉が良く開いた状態で、声帯を正しく閉じるために喉下を意識することと同時に、口奥が天井の高い状態にする2つの要素のバランスが重要です。

前回のレッスンで練習した息だけのシミュレーションには、この練習の意味が含まれているわけです。

そして一番大事なことは、このように高音域で喉を開ける発声をするために、お腹での呼吸が必要になるということです。
腹筋だけで息を入れることで、喉を脱力して、喉のフォームを不変にする意味があります。
また声をだしている際に、お腹を拡張するように支える力も大事です。
特に側腹から腰にかけてを張り出したまま維持するようにしてみると、効果が分かるはずです。

WN

やはり、いつも同じですが、低音発声時に喉を下げ過ぎて(開けすぎて)、結果的にスカスカな中低音発声になってしまいます。
喉が冷めている時は、誰しも喉が合いにくいですが、そのレベルとは違うと思います。

たとえば低音のC4から母音のIで歌い出しますと、微妙に下あごを下げて喉を開けて出すような感じになります。
これはあまり意味がありません。

むしろほとんど歯と歯の間を取らないくらいにして、喉を浅くして響きを出す方が良いでしょう。
その時、軟口蓋から出だすことに気を付けてください。

このようなやり方で中低音発声を練習します。
要するに息もれの出ない声の響きに留意してもらいます。

母音のIの響かせ方が決まれば、これを基準にIEAという具合に開母音へ発展させます。

中低音は喉を軟口蓋と舌の間を狭く取り、高音の換声点が近づいてきたら、徐々にこれを拡げることで、ここでようやく喉を開ける、ということになります。
このことで、喉が締まらない高音を目指すわけです。

ベッリーニのVaga luna,Vanne o rosa fortunata そしてドナウディのO del mio amato ben,Vaghissima sembianzaと練習をしました。
母音のOは、口を突き出してすぼめない事、ほとんどAと同じように処理してください。
要するに声が奥に引っ込まないように。

そして母音のEが狭くなり過ぎる癖がある点も要注意です。

TNA

今回は、ブレスの問題と共に声のフォームの問題を練習しました。

ブレスについては、まずはお腹周りを力まないで、むしろ全体に脱力させることで自然に息が入る方法を会得するのが早道と思います。
問題は、胸を使ってたくさん息を入れようとする事にありますので。

最初の内は息を入れるというより、むしろほとんど息を入れることを意識しない方が喉は良い脱力を示してくれるはずです。

今回は、声の出し始めに口が開かない彼女の癖を指摘しました。
下顎が意外に降りないので、しっかり降ろすように指示しました。

とはいえ、これは出す瞬間のタイミングが大事で、あらかじめ開けておくのは構えた発声になりやすいので注意が必要です。

大事なことは、重心を低く意識しますが、出す瞬間には声の響きは情報に上げる意識が必要ということです。

フォーレの「秘密」の出だしなどは、このやり方でかなり声の響きが安定しました。

その続きで「イスパーンのバラ」これなどは、今回の脱力と下あごの関係で、結果的に低音も地声にならずに、良い低音発声が出来ていました。
また、その続きで高音発声もより響く声が出てました。

モーツアルトのスザンナのアリアは、よく出る低音が脱力を誘い、結果的に高音も良い脱力が出来ていたと思います。
全体に声が良く響くようになりました。

今回の発声は、弦楽器で言えばなるべく太い弦で演奏しようという発想に似ていると思いました。