男声の発声の基礎とハイアマチュアのコロラトゥーラ音域の訓練法
FT
低音発声時に、鼻腔は上顎を意識し過ぎると、かえって喉を硬くしてしまうから、喉が温まらないうちは、なるべく響きを落して、
楽に声を出すように心がけること。
ハミングで充分に喉を落して自然に鼻腔に入るように発声のウォーミングアップを行います。
これを怠って、いきなり高音を強く出すと、たちどころに痰が絡んで調子を崩します。
「児島高徳」は、日本語の母音のUが中低音で響かない事と、高音になると、喉を詰まらせてしまう点が目立った。
このため、ほぼ胸声だが、まず喉を開けて楽に息が吐ける発声を目指すところから始めた。
特に4点Cで「すぎさかと」と歌うと、喉が詰まってしまうので、母音のUを意識から外して、Oに近く口を縦に開けるように指示した。
このやり方であれば、この曲は喉を詰まらせずに歌えると思うが、次の「椰子の実」は、難しい。
現状の発声レベルに対して音域が高いからだ。
口を開けて解放する発声では対処しきれない音域が多くなっていることが理由。
このためには、逆に口を開けないことで喉を上げないで発声することになる。
鼻腔発声を利用する。
特に「故郷の岸を離れて」の部分。
高いからと言って声を強く出し過ぎないこと。
「ふ」の発声で口を大きく開けないでそのまま狭母音で発声するが、鼻腔に入れるようにすることで喉が上がることを抑制できる。
換声点近辺であれば、この口を大きく開けないで鼻腔に入れる意識を持つことで、喉がこわ張ったり上がったりすることを防げる。
MMT
10年ぶりくらいだろうか?
珍しく来てくれた。
ハイアマチュアの道を20年続けながら海外留学までも経験し、ようやく自分の声に自信を深めたようである。
元々頭声のしっかりした、音程感の良い滑らかな声であったが、更に芯を作り輝きも兼ねた、相当にクオリティの高い歌声になっていた。
留学先では、鼻根に当てる発声練習を特訓されたとか。
確かにソプラノらしい明るく、しかし芯のある良い響きで、以前に比べても声量も充分である。
最高音は6点Cとのことだが、発声練習だけを聞く限りは、もっと上まで行けそうである。
実際の曲を歌ってもらった。「夢遊病の女」のアリアから。
発声の声に比べると、5点bあたりから、美妙に声帯が開く傾向があるが、喉を開けようとしている発声が気になった。
多分、喉から離れようとして舌に力が入っているのではないか?
自身の感覚からすると、喉が浅い、あるいは平べったい感じがしても、母音Eを意識した舌の状態になることで、声帯が開かないで更に高音に昇りやすいのではないか?
と考えた。
最高音域の練習方法、具体的にはスタッカートを薦めた。
彼女のレベルだと、細かい教え方を指示しなくてもつかめるだろうと考えた。
というのも、彼女がイメージしているところが、喉から離れようとし過ぎていることが、最高音域の声帯の開きに繋がっているのではないか?という考えもあった。
スタッカートなら、嫌も応もなく音程を「当て」に行くはずだからである。
これが功を奏して鬼門だった6点Esが確実で6点Eまで、音程を確実に出せる声になった。
これが出来たら、今度はスタッカートで上がって、最高音を伸ばしてレガートに降りるという方法を試してほしい。
最高音の発声は、努力で伸びるので、まだまだ諦めずにトライしてほしい。