ASY

改めて発声法をきちっと覚えることの大切さを感じたレッスンでした。
彼女の発声は、中低音が響きが抜けてしまう事です。
それから、今回は特に低音発声で、地声になるか裏返るか?という声区の分離が強く出ていました。

これらの現象は、いわゆる喉で歌うか?喉だけではない方法を使うか?という違いです。
喉だけで歌わないためには、ブレス時にあくびをする状態を作る、という方法があります。
これを覚えないと、声が温まらないと声の響きが出にくい状態が続くと思います。

発声法というのは、よほど考えて練習・実行しないと、なかなか身につきません。

「イブの歌」7番は、ピアノのテンポを少し遅くして、ペダルを減らしてリズムを分かりやすくしてもらいました。
歌は、明快にはきはきと歌う事です。
口さ気を良く動かして、いわゆる「メリハリ」をはっきりさせて歌ってください。

9番は、これもピアノの打鍵を弱くしないで、決然とした音楽を作ってもらいました。
澄み切った夕暮れの空気感を表現するためです。
歌も、決然とした凛とした雰囲気を大事にしてください。

10番は、伴奏が遅すぎました。
指示テンポ通りです。
遅くしたくなりますが、深刻過ぎては良くないです。
最後のページの低音発声に難がありました。
4点Fは地声にしないように注意してください。
彼女の場合、本来は地声にしなくても対処できるはずですが、声が温まらないとスカスカしてしまうため、
響きを出そうとすると地声になってしまうようです。

AC

ドビュッシーの歌集「忘れられた小唄」から「それはもの憂い恍惚」「私の心に雨が降る」「木々の影」「木馬」
4曲を練習しました。

まず、フランス語の基本的な読みは、いちど指摘された間違いは必ず修正を早い時期に徹底しておくことです。
歌で覚えてしまうと、後で修正しようとしても、なかなか修正出来ないのです。

それは、言葉として覚えないで歌で覚えてしまうからです。

面倒でも、ノートにフランス語を書いて、読み方をはっきり書いておく作業をしたほうが、
暗譜する上でも役立つでしょう。
歌うだけではなく、机上勉強も必要なのです。

歌に関して言えば、特に問題はないと思います。
発声の理想はありますが、むしろアンサンブルでしょう。

「それはもの憂い恍惚」は、要所要所のテンポの変化を音楽から感じて意識して表現しないと、立体的な音楽演奏になりません。
それは、ピアニストとの共同作業になります。

「私の心に雨が降る」
ブレスの長いフレーズがありますが、なるべく一息で歌うことも訓練してください。
一息で歌う工夫をすることで、改めて発声と呼吸法の開発が出来るでしょう。

「木々の影」バランスの良い演奏でした。

「木馬」ピアノの音量とテンポの修正が必須でした。
勢いで演奏しないで、確実な演奏を目指すことです。
2拍子の後拍をしっかり感じて弾かないと、座りの悪い音楽になると思います。
威勢の良い音楽のようでいて、楽譜を子細に見ると弱声で歌うことが多いのです。
ポエティックな歌曲です。

OT

フォーレの「河のほとりで」から始めました。
フレーズの終わりが短いので、その点を修正しました。

後は、彼の固有の表現力できれいに歌いきっています。
声も良いですし、滑らかに歌えています。

「夢のあとに」
これも、彼の個性あふれる歌唱が良く表れていて、魅力的です。
ややロマンティックに過ぎるかな?という気もしますが、これは好き嫌いの範疇と思います。
誰もが好感を持てる、という表現は無いと思いますので。

後半のブレスのポイントを決めました。
それから、Reviensの語尾のEの鼻母音が不明瞭なので、修正してもらいました。

下顎を適度に下ろすことで、明快になると思います。

後、発声時に舌先が口奥に潜ってしまうために発音が不明瞭になることもあるでしょう。
舌先を下歯の裏に付けておくことを指導しました。
このことで、母音の違い、発音を明瞭にする効果がありますので。
また、声も明るくなるでしょう。

この点は、一種の癖なので自分の耳に慣れない声色で戸惑いが出るかもしれませんが、なるべく気を付けてください。

歌詞の暗記は、基本的には外国語の場合は、文法の基礎を覚えて自分で訳せる程度にはなってください。
それで初めて頭で言葉を記憶することにつながるでしょう。
単に口先で音で覚えるだけの方法は、加齢が進むとかなり困難になると思います。